第4話
待ち合わせるような仲ではない。
時々同じ車両に乗る程度で、特に曜日が決まっているわけでもない。
化粧がやけに濃い日と、薄い日があった。
髪がやけにくるくると巻かれている日があると思えば
息を飲むほど真っ直ぐに、サラサラと揺れる日もあった。
「アオくん。」
「あぁ、こんにちは。」
「こんにちは。」
......今日はストレートか。
会うたびに顔を変える彼女は
僕の目にまるで何人もの女の人を飼っているみたいに見えた。
髪型だけではなくて、服装の感じもどこかいつも違うのだ。
変幻自在。今日は純和風な女でいこう、とか、毎日テーマでも決めているんだろうか。
それでも、どこへゆくのと尋ねるのは僕たちにとってルール違反だった。
僕ら以外に人のいない車両で向かい合ったあの日から
少しずつ距離が縮んで、いつの間にか隣に座るようになった。
そんな関係を、この生温さをいつまでも守りたくて。
それは、彼女も同じように感じているはずと信じて疑わない僕の微かな願いだった。
進んでは止まることを繰り返すうちに段々と人が増えてくる。
電車が動きを止めるたびに、彼女はいつ立ち上がるだろうと様子を伺った。
今日はどこで降りるのだろうと唾を飲む僕を知らない彼女は、窓の向こうに流れる緑をぼんやりと見つめてばかりいた。
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