第3話  二つの恋の狭間で




翌日、遥香は圭一の画廊を訪れていた。


「ここよ……」


住宅街の一角にある小さな洋館。「ムーンライト・ギャラリー」と書かれた看板が、落ち着いた雰囲気を醸し出している。


ドアを開けると、鈴の音が静かに響いた。内装はシンプルながらも洗練されており、壁には様々な絵画が飾られていた。風景画や静物画、抽象画など、テーマは様々だが、どれも独特の雰囲気を持っていた。


「遥香さん、来てくれたんだ」


奥から現れた圭一は、昨日よりも元気そうに見えた。白いシャツに黒のパンツという出で立ちは、高校時代の美術部の彼を思い出させた。


「素敵な画廊ね」


「ありがとう。小さいけど、大切な場所なんだ」


圭一は遥香を案内しながら、それぞれの絵について説明してくれた。彼自身の作品も多く展示されており、繊細なタッチと独特の色使いが印象的だった。


「この絵は?」


遥香は一枚の絵の前で足を止めた。月明かりの下、神社の境内に佇む白装束の女性と、その足元に座る黒猫の絵。どことなく月之宮神社を思わせる風景だった。


圭一は少し緊張した様子で答えた。


「これが、君に見せたかった絵なんだ」


「私に?」


「うん。この絵は、僕が繰り返し見る夢をもとに描いたんだ。不思議なことに、この女性が君に似ているんだよ」


遥香は息を呑んだ。確かに、絵の中の女性は自分に似ていた。いや、それだけではない。その姿は、神社で見た日記に描かれていた佐伯澪そのものだった。


「この絵、いつ描いたの?」


「一ヶ月ほど前から少しずつ。夢に見るたびに、細部を追加していって……」


圭一の言葉に、遥香は戸惑いを隠せなかった。月読との出会いよりも前から、圭一はこの絵を描き始めていたというのだ。


「そして、この黒猫は……」


圭一の言葉に、遥香は思わず聞き返した。


「黒猫?」


「うん、夢の中ではいつも、この女性と黒猫がセットで現れるんだ。そして不思議なことに、その黒猫は時々……」


圭一は言葉を詰まらせた。


「時々?」


「人の姿になるんだ。漆黒の髪に、金色の瞳を持った男性に」


遥香の心臓が激しく鼓動した。紛れもなく月読のことだ。


「信じられないよね。こんな話、普通の人には到底……」


「信じるわ」


遥香の言葉に、圭一は驚いたように目を見開いた。


「え?」


「私も会ったの、その黒猫に。そして、月読という名前の……人に」


二人はしばらく無言で見つめ合った。それぞれが抱えていた不思議な体験を共有したことで、奇妙な連帯感が生まれていた。


「座って話そうか」


圭一は遥香を画廊の奥にある小さな応接間へと案内した。そこには彼の仕事場も兼ねたアトリエがあり、描きかけのキャンバスや画材が並んでいた。


お茶を淹れながら、圭一は静かに語り始めた。


「実は、この夢を見始めたのは、病気が分かった頃からなんだ」


「病気?」


遥香は不安を覚えながら訊ねた。圭一はためらいがちに頷いた。


「あまり人には言ってないんだけど……僕、難病なんだ。治療法も確立されていない種類の」


その言葉に、遥香は言葉を失った。昨日の彼の様子、顔色の悪さの理由が分かった。


「どれくらい……」


言いかけて、遥香は言葉を飲み込んだ。そんなことを聞くべきではないと思った。しかし圭一は、彼女の意図を汲み取ったかのように答えた。


「医者の話では、半年から一年くらいかな」


シンプルな言葉だったが、その重みに遥香は胸が締め付けられる思いがした。


「ごめんなさい、そんな大事なこと聞いてしまって……」


「いいんだ。むしろ、君に話せて良かった」


圭一は穏やかに微笑んだ。彼の中に諦めと受容が同居しているのが分かった。


「それで、夢の話だけど……不思議なことに、その夢を見るようになってから、病状の進行が遅くなったんだ。医者も不思議がってるよ」


「夢が、あなたを守っているの?」


「そう思いたいね。特に、あの黒猫が現れる夜は、翌日必ず体調が良くなるんだ」


遥香は胸元のペンダントを無意識に握りしめていた。月読との関係、前世の因縁、そして今、圭一の病気と不思議な夢。すべてがつながっているような気がした。


「圭一君、あなたは月之宮神社とどんな関係があるの?」


圭一は少し考えてから答えた。


「子供の頃から、なぜかその神社に惹かれていたんだ。記憶にはないんだけど、両親によると、僕が生まれた時、その神社で祈願をしたらしいんだ」


「生まれた時?」


「うん、僕は生まれつき弱くて。生きられるかどうか分からない状態だったらしい。両親が必死で祈ったところ、神社の裏手で黒猫を見たとたん、僕の容体が急に安定したって」


その話に、遥香は鳥肌が立った。月読が関わっていたと考えるのが自然だった。


「そして今、あなたの病気と……」


「黒猫が再び現れた。まるで、僕を見守ってくれているかのように」


二人は沈黙した。不思議な巡り合わせに、言葉を失ったのだ。


「遥香さん」


しばらくして、圭一が静かに呼びかけた。


「私がここに来たのも、偶然じゃないのかもしれないわね」


「うん。僕たちは何かに導かれている気がする。でも……」


圭一は窓の外を見やった。曇り空から、小雨が降り始めていた。


「こんな状態の僕が、君の人生に入り込むべきじゃないんだろうな」


その言葉に、遥香は胸が痛んだ。


「そんなこと言わないで」


「でも現実だよ。僕の時間は限られている。だから、これ以上君を巻き込むのは——」


「私は自分で決めるわ」


遥香の強い口調に、圭一は驚いた様子で彼女を見つめた。


「高校時代、私、あなたのこと好きだったの」


唐突な告白に、圭一は目を丸くした。


「え?」


「言えなかったけど、ずっと好きだった。だから今、あなたに再会できたのは、きっと意味があると思う」


遥香自身、なぜそんな告白をしたのか分からなかった。けれど、この不思議な巡り合わせの中で、もう一度チャンスがあるなら、素直になりたいと思ったのだ。


「遥香さん……」


圭一の目に、複雑な感情が浮かんでいた。喜びと悲しみ、そして迷い。


「ごめん、急に言って。でも、知っておいてほしかったの」


雨音が二人の間の沈黙を満たしていた。やがて圭一が口を開いた。


「実は、僕も同じだったんだ」


「え?」


「高校時代、君のことが好きだった。でも、内気な性格で言い出せなくて」


二人は互いを見つめ、思わず笑みがこぼれた。すれ違った初恋の相手と、こんな形で再会するなんて。


「おかしいね、私たち」


「うん、でも不思議と自然な気がする」


圭一が遥香の手に触れた。その温もりに、彼女は安心感を覚えた。


「これから、一緒に謎を解いていこう。月読のこと、神社のこと、そして……僕たちのことを」


遥香は頷いた。しかし、胸の奥では複雑な感情が渦巻いていた。月読との約束。次の満月までに結ばれなければ、彼は消えてしまう。そして今、過去に思いを寄せていた圭一との再会。


「圭一君、もう少し絵を見せてもらってもいい?」


「もちろん」


画廊に戻り、二人は他の絵画も見て回った。圭一の作品には、どこか神秘的な雰囲気があり、特に月をモチーフにしたものが多かった。


「これも夢から描いたの?」


遥香が指さした絵は、月の光に照らされた湖のほとりで、二人の人物が佇む様子を描いたものだった。


「うん。最近見始めた夢だよ。白い服の女性と、黒い服の男性がいて……」


「場所はどこだか分かる?」


「はっきりとは分からないけど、月之宮神社の裏手にある小さな池に似てるかな」


遥香は思わず息を呑んだ。神社の裏に池があることを、彼女は知らなかった。


「今度、一緒に行ってみない?」


圭一の誘いに、遥香は迷いながらも頷いた。


「うん、行きましょう」


画廊を後にする頃には、雨はすっかり上がっていた。空には薄い雲が広がり、これから夕暮れを迎えようとしていた。


「送るよ」


「大丈夫、一人で帰れるわ」


「いや、せめて駅まで」


二人は並んで歩き始めた。高校時代にはこんな風に並んで帰ることはなかった。遥かな記憶の中にあった願いが、今になって叶うという皮肉。


「不思議ね」


「何が?」


「ずっと叶わなかった願いが、こんな形で実現するなんて」


圭一は柔らかな笑みを浮かべた。


「人生、何が起きるか分からないよね」


その言葉に込められた意味を、遥香は深く受け止めた。圭一の残された時間のこと。そして自分と月読との約束のこと。


駅に着くと、二人は少し名残惜しそうに立ち止まった。


「また会えるよね?」


圭一の問いかけに、遥香は頷いた。


「もちろん。連絡先、教えて」


スマートフォンを取り出し、互いの連絡先を交換する。十数年ぶりに再会した初恋の相手と、こんな形で連絡先を交換するなんて。遥香の中で、感情が複雑に入り混じっていた。


「じゃあ、また」


「うん、また」


別れ際、圭一は一瞬だけ躊躇った後、遥香の頬に軽くキスをした。一瞬の出来事に、遥香は驚きの声も上げられなかった。


「高校時代の俺には、こんな勇気なかったよ」


照れたように笑う圭一を見て、遥香も思わず頬が熱くなるのを感じた。


「また明日、連絡するね」


そう言って手を振る圭一を見送りながら、遥香は複雑な気持ちに包まれていた。


アパートに帰る電車の中、窓に映る自分の顔を見つめながら、遥香は考え込んでいた。月読との出会い、そして圭一との再会。すべてが偶然とは思えない。何かに導かれているような感覚。


そして、選択を迫られているという予感。


「どうすれば……」


呟いた言葉は、電車の音に消されていった。





「にゃあ」


その夜、遥香がベッドに横になると、窓の外から猫の鳴き声が聞こえた。カーテンを開けると、窓辺に黒猫が座っていた。


「月読……?」


窓を開けると、黒猫はスルリと部屋の中に入ってきた。月明かりの中、その体が銀色に輝き始め、やがて人の姿へと変わっていく。


「久しぶりだな、遥香」


月読の姿に変わった彼は、窓際に佇んでいた。純白の着物姿は、夜の闇の中で不思議な存在感を放っている。


「あなた、どこにいたの?」


「ずっとそばにいたさ。ただ、姿を見せなかっただけだ」


月読は部屋の中を見回した。


「話があるんだ」


「何?」


「お前が、田村圭一と会ったことは知っている」


その言葉に、遥香は驚いた。


「見ていたの?」


「ああ。彼との再会も、偶然ではない」


月読は窓の外を見つめながら続けた。


「彼は前世で、お前と私の仲を引き裂いた人物だ」


「え?」


「澪——いや、お前の前世と俺は愛し合っていた。だが、彼女の幼馴染だった男が、それを許さなかった」


遥香は混乱した。前世の物語がさらに複雑になっていく。


「圭一が?」


「その魂だ。前世では別の名前だったがな」


月読は苦い表情を浮かべた。


「彼は澪を自分のものにしようとした。しかし澪は俺を選んだ。怒った彼は、俺たちの仲を神社の長老に告げ口した。人と神の恋は禁じられていたからな」


「それで?」


「澪は罰として神社から追放された。そして間もなく病に倒れてしまった」


月読の目には深い悲しみが宿っていた。


「俺は彼女を救おうとしたが、人間界での力には限りがある。彼女は死の間際、『来世で必ず会いましょう』と約束した」


遥香は胸が痛むのを感じた。それは自分の前世の記憶なのだろうか。それとも月読の一方的な語りなのか。


「だから今、圭一が現れたのも運命の巡り合わせなのだ」


「でも、彼はそんな因縁のことなんて知らないわ。それに、彼は病気で——」


「知っている。彼の病も、すべて前世からの因果だ」


月読の言葉に、遥香は眉をひそめた。


「それはあんまりよ。彼が苦しんでいるのに、前世の報いなんて」


「俺が言っているのは、彼を救う方法があるということだ」


その言葉に、遥香は息を呑んだ。


「救う方法?」


「ああ。俺の力で彼の病を治すことはできる」


「本当?」


希望の光が見えた気がした。しかし、月読の次の言葉で、その光は消えた。


「だが、代償がある」


「代償?」


「俺の存在だ。俺が消えることで、彼に命を分け与えることができる」


遥香は言葉を失った。月読の命と引き換えに、圭一を救う——そんな選択肢があるとは。


「でも、それは……」


「選択はお前次第だ。俺とともに生きるか、それとも彼を救うか」


月読は窓際に立ち、外の月を見上げた。


「満月まであと二週間。その時までに答えを出せばいい」


そう言うと、月読は再び銀色の光に包まれ、黒猫の姿に戻っていった。黒猫は一度だけ振り返り、そして窓から飛び出していった。


遥香はベッドに崩れるように座り込んだ。月読の告げた選択——それは、あまりにも残酷なものだった。圭一の命か、月読の存在か。どちらを選べばいいのか。


その夜、遥香は眠れなかった。天井を見つめながら、さまざまな思いが交錯していった。


翌朝、目覚めると、携帯電話に圭一からのメッセージが届いていた。


「今日、時間あるなら神社に行かない?例の池を見に行こう」


返信しようとして、遥香は指を止めた。月読の言葉が脳裏に浮かぶ。圭一との関係を深めることは、最終的に月読との別れを意味するのではないか。


しかし、圭一を救える可能性があるなら——。


「行きます。11時に神社の入り口で会いましょう」


送信ボタンを押した瞬間、胸が締め付けられる思いがした。


約束の時間、神社の鳥居の前で圭一が待っていた。カジュアルな服装で、顔色は昨日よりも良さそうだった。


「おはよう」


「おはよう。調子はどう?」


「今日はいい日だよ。夢で黒猫を見たから」


その言葉に、遥香は複雑な気持ちになった。月読が圭一の病状を和らげているという事実。


「池に行ってみましょう」


二人は神社の裏手へと向かった。細い山道を抜けると、小さな池が現れた。周囲は木々に囲まれ、水面には空が映り込んでいる。


「ここだ。夢で見た場所と同じだよ」


圭一が感嘆の声を上げた。確かに、画廊で見た絵に描かれていた風景そのものだった。


「美しいわね」


遥香は池のほとりに立ち、水面を見つめた。そこに映る自分の姿が、一瞬別の人物——白い装束を着た女性の姿に見えた気がした。


「あの日記に書いてあった、澪という巫女。彼女はここで月読と会っていたのよ」


「澪?」


「ええ、私の前世かもしれないの」


圭一は驚いた様子で遥香を見つめた。


「前世?」


「信じられないかもしれないけど……」


遥香は神社で知ったこと、月読との出会い、そして前世の話を圭一に伝えた。ただし、圭一自身が前世で関わっていたという部分と、彼を救える可能性については黙っておいた。


「そうか……だから僕の夢にも、黒猫と君が現れるんだ」


圭一は納得したように頷いた。


「でも、なぜ僕まで巻き込まれているんだろう?」


その問いに、遥香は答えられなかった。圭一に真実を告げるべきか、迷いがあった。


「それはまだ分からないの」


二人は池のほとりのベンチに腰掛けた。秋の陽射しが水面に反射して、柔らかな光が二人を包み込む。


「遥香さん」


突然、圭一が遥香の手を取った。


「昨日は唐突だったけど、高校時代の気持ちを伝えられて、本当に嬉しかった」


真剣な眼差しに、遥香は言葉に詰まった。


「私も」


「もし、時間がもっとあれば……」


圭一の言葉に、遥香の胸が痛んだ。彼の限られた時間。そして、救う方法があるかもしれないという希望。


「圭一君、諦めないで」


「え?」


「あなたの病気、必ず良くなる方法があるはず」


圭一は優しく微笑んだ。


「ありがとう。でも、医者も諦めてるよ。だから僕は残された時間で、やりたいことをやろうと思ってる」


「やりたいこと?」


「うん。例えば、高校時代に告白できなかった女の子と、改めて時間を過ごすとか」


その言葉に、遥香は思わず顔を赤らめた。


「それから、この風景を描きたいんだ。君と一緒に居る、この瞬間を」


圭一はスケッチブックを取り出し、鉛筆で池と遥香の姿を描き始めた。その手つきは、高校時代と変わらず繊細だった。


遥香は黙って彼の横顔を見つめていた。この穏やかな時間が、いつか終わってしまうことを思うと、胸が締め付けられる思いがした。


そのとき、池の向こう岸に黒い影が見えた。遥香は思わず息を呑んだ。黒猫だ。それは静かに二人を見つめ、やがて森の中へと消えていった。


「どうかした?」


圭一の問いかけに、遥香は首を振った。


「ううん、何でもないわ」


だが、心の中では月読の存在を感じていた。彼はいつも見守っている。そして、選択を待っている。


「完成したよ」


圭一がスケッチを見せてくれた。そこには、池のほとりに座る遥香の姿が、優しいタッチで描かれていた。そして不思議なことに、その背後にはうっすらと黒猫の姿も。


「この猫は?」


「不思議だね。描くつもりなかったんだけど、自然と鉛筆が動いて……」


圭一も自分の描いたものに驚いている様子だった。


「素敵な絵ね」


「完成したら、君にあげるよ」


その約束に、遥香は複雑な思いを抱えながらも微笑んだ。


神社を後にする頃、空には雲が広がり始めていた。明日は雨になるかもしれない。


「送るよ」


「ありがとう」


二人は昨日と同じように並んで歩きながら、高校時代の思い出話に花を咲かせた。懐かしい記憶を共有することで、二人の距離はさらに縮まっていく。


「実は、卒業式の日に告白しようと思ってたんだ」


「え?本当?」


「うん。でも勇気が出なくて。それから君は大学で遠くに行ってしまったし」


「私も、一度は告白しようと思ったことがあったの。でも、あなたが美術部の先輩と付き合ってるって噂を聞いて……」


「そんな噂あったの?全然違うのに」


二人は笑い合った。すれ違いの青春の日々。


駅に着く頃には、二人の間にはさらに自然な空気が流れていた。


「明日は?」


「うーん、仕事だけど、夕方以降なら……」


「じゃあ、また明日」


別れ際、今度は遥香の方が、思い切って圭一の頬にキスをした。一瞬の接触だったが、圭一の顔が赤くなるのが見て取れた。


「これは高校時代の私にできなかったこと」


照れながらも、遥香は微笑んだ。


電車の中で、遥香は窓に映る自分の顔を見つめていた。心の中では、月読の言葉と圭一との時間が交錯していた。


「どちらを選べばいいの?」


満月まであと二週間。答えを出す時間は、刻一刻と迫っていた。


アパートに帰ると、テーブルの上に見慣れぬ封筒があった。いつの間に置かれたのだろう。


開けてみると、中には一枚の紙切れ。そこには美しい筆跡で一行だけ書かれていた。


『本当に彼を救いたいなら、月之宮神社の奥宮に来るがいい——月読』

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