第4話 チーム対抗戦、そして…

 ガソリンスタンドについた。車を停車し、バトルのために給油をする。この車は黄色いノズルだ。

「この時代はまだガソリンが安くて助かるわ。」

まだ一リットルで百四十円だから、満タン入れてもそこまで高くならない。蓋のしめ忘れがないようにきっちり閉めて料金を支払い、出発する。

峠に到着した。くる途中ギャラリーが何人か見えたけど、正直どうでもいい。ついた時には相手はもう到着して練習を始めていた。僕も一本だけ走ってバトルに挑むことにした。今日意識しなければならないことを意識しながら一本走り終え、スタートラインに足を運ぶ。

「まあどうせ俺が勝つけど、まあせいぜい頑張れよ。」

「そっちこそ。僕だって負けませんよ。」

「バトルは上り下りの一本ずつだ。後ろのやつが前を抜くか、前のやつが引き離したら勝ちだ。」

「わかりました。」

そう言って僕は車に乗り込んだ。サイドブレーキを引き、アクセルを吹かす。相手の車はセリカGT-fourだ。ラリーで名を震わせたトヨタの名車だ。しかしこっちも現代ラリー最強とも言われるGRヤリスだ。負けてられない。

「カウント行きます!三、二、一、ゴー」

 一気にサイドブレーキを開放してスタートする。4WDでも少しだけホイールスピンした。スタートしてからどんどん加速する。しかしそれは僕だけじゃない。向こうのセリカも負けじと追いかけてくるが、やはり新旧の差があって、加速勝負では僕のヤリスが前に出た。

「向こうの謎車が前に出たか、、まあそんなの関係ない。俺のコーナリングを見せてやる。」

 間も無くして最初のカーブが近づいてきた。左に九十度。ここはドリフトなしでブレーキングをギリギリにして侵入する。

「ブレーキングが早すぎるんじゃねえのか?お前。もっと遅くても曲がれるよ!」

セリカはギリッギリでブレーキングをし、速度を落とさないままカーブを曲がり切った。一方僕はしっかりを速度を落としすぎてしまった。

「しまった。やってしまった。」

思いっきり戻そうとするけど、

「インが空いてるぜ。」

車の頭を思いっきりねじ込んできた。ブレーキングで速度を落としすぎた僕にはこのコーナリングで抜かれてしまった。そのまま二つ目のコーナー、ヘアピンカーブが来る。僕はしっかりとサイドブレーキをひき、ドリフトの姿勢に入る。一気にクラッチを繋いで後輪を滑らせる。うまくドリフトに成功してコーナーを出る時僕は気がついた。

「アウトインアウトがうまくいっていないじゃん。」

あいつがうまく曲がれていたのは馬力のおかげだったんだ。みたところあいつのセリカは二百五十馬力程度だ。新しい車には流石に勝つことはできなさそうだ。カーブは全部で八つ。そこで僕は最後から三つ目のヘアピンで勝負をかけることにした。そこまではセリカのケツにくっついていった。やっぱり立ち上がりが段違いに早いけど、僕のヤリスも馬力で無理やりついていく。

「なんだよこの車。全然離れねえじゃねえか。俺は本気で走ってるってんのに!」

一つ一つのカーブで僕はブレーキングを意識しながら進んでいく。そして最後から三つ目の左曲がりのヘアピンカーブが目前に迫る。僕はいつもよりももっと外側から、かつブレーキングを遅らせてカーブに侵入する。名付けて、

「スーパーレイトブレーキング‼︎」

うん。我ながらダサいネーミングだ。と、そんなことより相手は外から言った僕のことを舐めてるらしく、無理やり立ち上がりで踏ん張ろうとしていた。しかし、

"ガンッ"

「しまった。インに入りすぎてドブにタイヤがおっちまった。」

セリカは頑張って戻ろうとしてたけど、左のタイヤの両方が落ちてしまったようだ。

「くそっ、ここで終わりかよ。」

とりあえず速度を落としながらゴールまで完走してから、先ほどのセリカの場所に戻った。そこにはボロボロになったセリカがいた。エアロパーツは割れ、サスペンションは曲がっていた。

「大丈夫ですか?」

「俺は大丈夫だけど、俺のセリカが、、」

相手のやつは目元が腫れるくらいに泣いていた。下りの勝負では僕が勝利したけど、上りの勝負は、

「流石にこれじゃ上りの勝負はできねぇ。俺の完敗だよ。」

上りの勝負は無くなった。しかもちゃんと負けを認めた。とりあえず僕のヤリスの後部座席に乗っていたジャッキを使って救出してから僕は頼み込んだ。

「お前が春雨マロニーズで一番速いんだよな。」

「そうだけど、なんかあんのか」

「マロニーズも僕が統一してもいいかな。」

「はぁ流石に無理だわ。そういうことは俺らのホームの峠で勝ってからにしろよな。でも、これじゃあしばらくはバトルできそうにない。そうだ!二ヶ月後の土曜日、俺らの春雨峠に集合な!そこで今度こそ本当のバトルをしようぜ。」

勝手にバトルを決められたけど、僕は乗り気だ。

「いいじゃないですか。じゃあそこで勝ったら今度こそ僕がマロニーズを統一しますから。覚悟しといてください。」

僕は電話でレッカーを呼んでから、みんなに挨拶してその日は帰ることにした。初めての他チームとのバトルは、一応勝利ということで終わった。家についてから、緊張が一気に解けたらから、急に眠気が襲ってきた。だから、今日はもう寝ることにした。

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