『たから』探し
セキチク
始まり
第1話
これはカという国の話である。
――朝。
「花梨さま、起きて」
そんな声がして、花梨は目を覚ます。
「なによ、もう……」
「花梨さま、起きなさい。今日は父上さまが帰って来る日でございます」
「あー、あのクソ親父が? マジか……」
「口を改めなさい、花梨さま」
「親父がクソであることには変わりないじゃんかよ」
花梨がそう言いながら体を起こすと、いつものようにシュウがいる。
「おはようございます、花梨さま」
「はよ、シュウ。なに、今日はクソ親父が帰って来るんだって?」
「そうです」
「うっわ、最悪」
花梨は高級なベッドから降りて、1つ、大きなあくびをする。
「そんなこと言ってると――」
「民がどんどん離れていくんでしょ、もう何度も聞いた」
カの王である花梨は王らしくない服を身にまとう。
「なにゆえこのような汚い服を着るのですか? そのようだと下の民だと思われてしまいます」
「そ。だから?」
「ですから、もう少しだけでも高級な服を着てください。せめて先日他国買ったあの布でお作りいたしますから」
「嫌だよ。だってあれ、きらきらしてるじゃん」
「それこそが花梨さまにお似合いの服だと思います」
「絶対にヤだね」
花梨はそう吐き捨てると、部屋を出て王宮にある椅子に座る。その一歩後ろに、シュウは立つ。
「暇ねぇ」
「争いごとは最近、少なくなりましたしね」
「リンは元気?」
「ええ。小屋の中で暴れてましたから、元気なんでしょう」
リンとは、花梨が飼っている鳥の名前であり、王になるともらえるコドリの仲間だ。コドリは体長約3メートルの鳥で、売れば1億にも達する鳥だ。
「あ! そうだ、いいことを思いついた!」
「何でしょう」
「うち、『たから』を探しに行く!」
「はあ!?」
花梨の言葉にシュウは普段出さないような大声を出す。
「花梨さま、今なんと?」
「『たから』を探しに行く。うちの先祖が残した『たから』」
「ですが、危険な道のりとなります。もう一度お考えを」
「楽しそうじゃん。あれはあくまで伝説だけど、探してみせる」
一度決めたら曲げない花梨はすく、と立って部屋に向かう。
「待ってください、花梨さま! せめて父上さまがお帰りになられたその時に、お話になってください!」
後ろからシュウも着いてくる。
「そんなんじゃ遅いわ。善は急げと言うでしょ?」
「そうですが――」
「なら行く」
「花梨さま!」
シュウの呼び止める声にも耳を貸さず、花梨は用意を始めた。
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