第2話
池戸が交差点を横切る様に歩道橋を渡り階段を下ろうとしていた。
階段の下から男が上ってくるところだった。男はチラッと池戸を見ると、両手をポケットに突っ込んで階段を上り始めた。黒のパーカーを着てフードで頭を覆って、下を向いたまま階段を上ってくる。誰が見てもざわっとするだろう。
池戸は左側に寄り、男と距離を取りながら、階段を下った。
男は下を向いて歩いていたが、コツコツと音を垂れる池戸のパンプスの足跡の音が大きくなり、自分と距離が縮まってきているのを感じた。
チラッと顔をあげると、前髪を耳にかけて横に流しておでこを出して、髪の毛を後ろで束ねている池戸の姿があった。
池戸は男と視線を合わさないようにしている。
階段の踊り場まで男はあと4段ある。
男はパーカーのポケットに突っ込んでいるナイフの柄を握った。
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