破滅する悪女でしたが、闇堕ち義弟の求婚ルートに入ってました

三崎ちさ/ビーズログ文庫

プロローグ


「ど、どうしてこんなことに……」


 おおかぶさる黒いかげぼうぜんつぶやく。

 影の主は、ふっと口元にうすみをかべて私を見下ろす。


「……なぜ? 俺をこうしたのは貴女あなただろう」


 長い指先が、私のかみをとる。


(俺をこうした、なんて、そんなこと……)


 ていせまられ、私、アルメリアはとても狼狽うろたえていた。


「姉さん、俺たち、けっこんしよう」


 ルビーのような真っ赤なひとみが私を見つめる。手首はすっかり押さえつけられ、彼は上体をたおし、ぐっと私に覆い被さってくる。


「そんなこと、できるわけないじゃない」


 なんとかげようと身じろいでも、男女の筋力差はくつがえせず「ああ本当に大きくなった

わね、この子」とみょうかんがいが浮かぶ。


「どうして? 姉さんが言っていたみたいに俺はっているだろう? 姉さんの理想の男になったつもりだ。能力も身につけて、姉さんにふさわしい地位も手に入れた。それでもまだ、何が足りない? ……俺のがんりがまだ足りない?」


 切なげな表情がますます眼前に迫ってくる。

 きれいな金色のまえがみが顔にかかり、きらめくあかい瞳がすきからチラチラと見えるのがようえんに映り、思わずドキドキとしてしまう。


「あ、あなたに問題があるわけじゃなくて……!」


 どぎまぎとしすぎて舌がもつれそうになりながら、あたふたとしゃべる。

 義弟は生来くつしょうぶんで、ここで落ち込んでしまうと、あとが大変になる。

 だが、しかし、どうそう。あなたはらしい男性に育った、私があなたのきゅうこんに応じられない理由はあなたがどうとかではなく。

 義理とはいえ弟とそういう関係になるのはりん的に無理とか、そういうのも色々あるけど、なにより。

 ――『私』にれてたらあなたがやみちしちゃうかもしれないのよ!

 だから、ダメなの! 絶対に!!

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