第7話 働かないくせにいいアイデア出して来る元経営者

「この人は昔すごかったんだよ」


 だった、過去系。


「鹿子田さん、人脈があるから新規のお客さんが増えてありがたいです」


 まあ、それはそうだけどね。


「この人はもてたんだよお、イケメンでねえ」


 だから過去形でしょ。っていうか金目当てだろ!


「鹿子田さん、ここのところ売り上げ落ちてて、いろいろ打開策出してもらってるんだけど、なかなか結果でないんですよお」


 経営者同士気があうのか、若くて会社を立ち上げた社長は頼りにしているみたい。


 いいアイデア出して、バリバリ働いて業績あげて、私達の給料も上げてくれたらいいなと、淡くない期待をする平社員の私達。


「一郎丸さん、鹿子田さんのアイデアで、来月の連休にイベントすることになったから頼むね」


 はっ、連休にイベント? いや、私友達とディズニーシーにいくんだけど。


 結果全員参加にされてしまった。イベントは大盛況で売上も倍増した。


 でも、皆が忙しく接客している中、アイデアを出した本人は、ずうっと椅子に座って人脈たちと談笑して、人脈をアピールしてた。


 そして、その人脈たち、一人も売上に貢献してくれなかった。


「いやあ、鹿子田さん、こんなに売上あったよ」


 社長はテンションMAX、社員は疲労MAX。


「次の連休もやりたいね」


(((やりたくねー)))






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