第2話 異能病棟学園


「あの…今僕はどういう状況でしょうか…」


なぜ僕は同級生の女子(しかもクラスメイト)に押し倒されてるんでしょうか?


***


翌日のこと。


僕はTHE・病院のベッドって感じのベッドから起き上がった。


隣を見ると、そこには一食分のご飯と制服。


そして、同い年であろう男子が座っていた。


黒っぽい茶色の髪をした、金色の瞳をした男子。


「って、えぇ?!だ、誰ですか?!」


「あ、ごめん。別にまじまじと見るつもりはなかったんだ」


椅子から立った男子は、僕の方に手を差し出してきた。


握手かな?


「俺は佐々木類ささきるい。異能病棟学園のAクラス所属だ。」


軽く微笑んだ佐々木くんは、ご飯を食べて制服を着たら外に出てくれ、といい残し、


この病室を去った。


言われたとおりに、ご飯を食べ、制服を着た。


制服の上に、僕はいつもの黒いジャンパーを着て、部屋の外にでた。


外には、壁にもたれかかって本を読む佐々木くんがいた。


「えっと…お待たせ?」


「それだとデートに来たみたいだろ…」


歩きながら話そう、という提案だったので、取りあえず佐々木くんの後ろを歩く。


「これから君は異能病棟学園に行く。俺はその道案内みたいなところだ。」


「あ、名前言ってなかったね。僕は新町語。」


「そうか。君が新町か。よろしくな語。」


雑談しながら歩いていたら、いつの間にかある病室の前まできていた。


「ここが異能病棟学園だ。」


「あ、はい」


ガララ、と入った瞬間。


紙飛行機が僕の頬をかすった。


え?今の何?


紙飛行機っていうかジェット機並みの速さだったんだけど?


「やべ、変な方向に飛んでいっちゃったわ(笑)!」


「乙木~何やってんだよ~」


焦っているのは、焦げ茶の髪に赤のメッシュの入った半袖男子。


笑っているのは、金色を帯びた低い二つ結びのカーディガンの女子。


「お~い乙木と猫田。新入生がいるだろ?」


一番大人な声が後ろから聞こえる。


「えっと…新町くんは?」


「あ~~~…」


先生は気づいてくれてるかと思ったけど、そんなこともなかった。


「黒板に字書けば分かるかなっと…」


カッカッカッカッ


「え、誰だ黒板書いてるの?!」


「あれ、まだ認識できないのかな…」


すると、席に座ったカーディガン女子が、すっと手を挙げた。


「せーんせー、席から立つ権利をくださーい」


と言いながら女子は、こちらの方に向かってきた。


「猫田、場所がわかんの?」



「だーいじょうぶ。私、運いいから」



ダンッと肩を押され、そのまま体制が崩れる。


***


そして今。


「あ、やっぱここか。私運いい~」


「…一旦退いてもらっていいですか」


「あ、ごめん」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る