第5話:モミモミはバイオロイド。
「タッちゃん・・・いつまで駄目代ちゃんと話してるの?・・・ここタッちゃんの
お家じゃないんでしょ?・・・れっきとしたおうちに帰ろうよ」
「あ〜分かった、分かった・・・駄目代ちゃん悪いね後は君に任せるから」
「僕はこの子を連れて帰るから・・・よろしこ〜」
「ちょっと〜古賀っち〜」
責任者のくせに、まったく無責任な立照だった。
「古賀っち・・・くれぐれも気をつけてね」
「駄目代ちゃん、もし僕が殺されたら研究は君が引き継いでよね・・・んじゃ〜ね」
帰る最中、とりあえず用心しながら帰ったが、もはや誰もが怪しく感じた。
立照はまだ若いくせに一戸建てにひとりで住んでいる。
嫁がいないだけでサラリーマンとは大幅に稼ぎが違うからね・・・。
立照の家は静かな郊外にあって一人住まいだけどセキュリティーの行き届いた
めちゃデカい家に住んでいた。
「へ〜ここがタッちゃんのお
「入って、入って・・・」
「たらいま〜・・・お帰り〜私〜」
「お帰り〜タッちゃん」
そう言ってモミモミは立照を思い切りハグした。
ハグが好きな子だ。
まあ、立照も悪い気はしないどころかモミモミの余りあるスキンシップは
めちゃ嬉しかったりして・・・。
いきなりのダイブさえされなきゃハグやチューなんていくらしてくれてもいい。
「モミモミ、お腹空いてる?」
「うん、空いてる・・・もうペコペコ」
「そこのソファにでも座って待ってて、テレビつけてあげるからね・・・見てる
間に、すぐに晩ご飯にするから」
「こだわりのペペロンチーノ作ってあげるからね
一人暮らしだから自炊が得意な立照・・・さくさくと晩ご飯を作りながら
思った・・・これって夢じゃないよな・・・モミモミはここにちゃんといるん
だよな。
そう思ってもう一度確認するようにソファのモミモミを見た。
モミモミは早速テレビにかじりついてた、テレビなんて見たことないんだろう。
でも一体誰がこの子を実体化したんだろう?・・・並みの技術じゃないよな。
僕に抱きついた時の体重から見てモミモミはロボットやガイノイドじゃない。
だから?・・・もしかして人間じゃないとしたらなんだ?
残る選択はクローン?・・・モミモミはバイオロイドってことかな?
そうじゃないと僕はモミモミの体重でとっくに潰れちゃってるからな。
立照はまたモミモミを見た。
たしかにそれは、バーチャルフードル・オッパイモミモミだった。
立照はふと、いかがわしいことを考えた。
バイオロイドなら人間と同じ生理機能を備えてるわけだからエッチだってちゃんと
できちゃったりするわけだろ?
まあ、男なら素朴な疑問だ。
なんせモミモミはフードル「風俗アイドル」なんだし・・・エッチできないと
それはフードルとは言えないじゃないか?
立照はそのうち一度はモミモミの股を開いて確かめてみないといけない
と思った。
一度そう思い始めると、見たくてしょうがなくなる・・・ただただスケベ心しか
働いてない。
「はい、モミモミご飯できたよ〜、キッチンテーブルまでおいで〜」
立照に呼ばれたモミモミはキッチンまでやって椅子に座った。
「はい、食べて食べて〜」
モミモミは出されたペペロンチーノを「美味しい美味しい」って言いながら
あっと言う間に平らげてしまった。
「あのね、その茹で方、アルデンテって言うんだ」
「神戸のイタリアンレストランのマスター直伝だよ」
「適度に硬めに仕上げる・・・ここが難しいんだよね」
「硬めだって・・・ヤだ、スケベだ〜タッちゃん」
「硬めってってだけで、なに想像してんの?」
「それはそうね、明日の朝になったら僕の意思とは関係なく大きくなってるし
硬くもなってるけど・・・今はね、それじゃなくてパスタの硬さの話、麺の
茹で方だよ」
「あ〜そうだね、やっぱり硬くなくちゃ、ふにゃふにゃはね・・・中折れは
困っちゃうね」
「フードルだけあってそっち系の話は精通してるんだな」
「うん、なんでも聞いて?恥ずかしくなるようなこといっぱい教えてあげるから」
「いや、いいわ・・・とりあえず、そこから離れようか?」
「せかっく心を込めて作ったペペロンチーノが台無しじゃん」
とぅ〜び〜こんて乳。
うんちく。
※バイオロイドについて〜。
機械工学ではなく生物学的・有機物的バイオテクノロジーによって造られた
クローンです。
感情表現も運動能力も人間よりはるかに優れていて、現代では「バイオロイド」
中世〜近代SFでは錬金術によって造られたものはホムンクルスとして区別される
らしいです。
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