二人きりの夜
第26話
時計の針が9時を指し示す頃、古庄が大きなため息を吐いた。
「ああぁ~…。さすがに腹が減ったなぁ~」
そう言われても、何も夜食になるようなものもないし、店屋物を取ることも不可能なので、どうすることも出来ない。
あまりに申し訳なくて真琴は、
「すみません……」
と謝りながら、
――……やっぱり帰ってもらった方がよかった……
と、心の中では呟いていた。
真琴は、人に迷惑をかけるということが嫌いだった。
ましてや、一緒にいるだけで息苦しい古庄に対しては、なおのことだ。
しかし、古庄が真琴の謝罪を聞いて、逆に申し訳ないような顔をする。
「いや、ごめん!別に賀川先生を責めてるわけじゃなくて。残ったのは、俺の意志だし。……そうだ!」
古庄は何か思いついたように席を立って、同じ学年部の戸部という教師の机へと向かった。
「確か、戸部先生はここに非常食をストックしてあるはず……」
と言いながら、戸部の机の引き出しを開けて中のものをかき回している。
真琴は何をしているのかと、目を丸くして古庄の行動を見守った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます