第21話
――どうしよう…。どうしよう…。どうしよう…。
真琴の鼓動が次第に激しくなってくる。
資料を自宅に持ち帰って作問して、明日早く出勤して印刷すれば、間に合うだろうか……。
それでも、問題の中に必ず入れる写真などをコピーしたりすることは、スキャナもプリンターも持っていない真琴が自宅ですることは不可能だ。
どうやっても、帰宅してからの作問は1時間目の考査には間に合わないと確信したら、真琴の動揺はいっそう強くなり、机の上のプリント類を整理する手が震えているのが、真琴自身にも自覚できた。
「…大丈夫。明日の朝気が付いてたんならアウトだったけど、今から作れば!」
古庄は楽天的なことを言って励ましてくれていたが、真琴の耳には届いていなかった。
真琴は古庄の方を見ることもなく、自分のノートパソコンを開く。
職員たちは一人二人と帰宅し、真琴の周辺には誰もいなくなってしまった。作問に没頭していた間、とっくに古庄もいなくなっている。
ふと顔を上げて見回してみると、いつも遅くまで残って仕事をしている3年の学年主任がいるだけだった。
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