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勢いよくドアが開き、チーフパーサーの近藤勇子と他のパーサーたちが一八〇二号室に入って来た。
少し焦げ臭い室内を見回すと、ベッドのサイドテーブルの前に若い女が、その手前に白いジャケットの青年が、サイドボードの横には背広姿の大男が横たわっていた。
青いジャンパー姿の中年男は気を失ったまま上身を立たされている。その背後では三色ニット帽の小柄な女がミニスカートから出た膝を立てていた。
「な……これは、どういう事ですか」
近藤勇子は床に倒れている四人の男女を見まわして目を丸くする。
気を失っている犬山巡査長の脇の下に両腕を回して背後から彼の上身を立てていた雀藤友紀が早口で言った。
「安心してください、生きてます。誰も死んではいません」
「『穿いてます』みたいに言わないでください! これは何なのですか!」
「皆、気を失っているだけです。刑事さんたちには私が活を入れて蘇生します。こっちの大きな男の人と、その女の人は私が作った『オシオキすずめちゃん』で感電して気を失っていますが、この二人は犯罪者ですので、拘束しておいて下さい!」
戸惑い顔のパーサーたちを余所に、雀藤友紀は犬山巡査長の背中に膝を当てた。
「かぁつ!」
雀藤の高い声が室内に響き渡る。膝で背中を支えられたまま左右の肩を後ろに引かれて胸を開かれた犬山巡査長は「ううう」と声を漏らして意識を戻した。
雀藤友紀は彼を他のパーサーにゆだねると、今度は狐川巡査の背後に座り同じように蘇生を試みる。
「かぁつ!」
狐川巡査はぐたりとしたまま動かない。
「あ、あれ……も一回。っかぁつ!」
二回目の活を施された狐川巡査は、小さな呻き声と共に薄っすらと目を開けた。
苦しそうに頭を振っている狐川巡査を見て、雀藤友紀はホッと胸を撫で下ろすと、彼を近藤パーサーに託し、頭の三色ニット帽の角度を整えながら立ち上がった。
狐川巡査を支えながら、近藤勇子が横に立つ雀藤を見上げた。雀藤友紀は上身を捻って背後を向きスカートの向きを整えているようだった。
前を向いた雀藤友紀は、セーターの裾を整えて赤いダウンジャケットの襟を引っ張ってから、凛とした顔つきで言った。
「では、私は行きます。後の事、よろしくお願いします」
「あ、あの、どちらへ……」
唖然とした顔で尋ねた近藤に雀藤友紀は毅然とした顔で答える。
「医務室です」
「医務室? お怪我されたのですか」
首を横に振った雀藤友紀は、端然として答えた。
「いいえ。そこへ、ハルク・ホーガンのアックスボンバー級の衝撃事実を伝えに行ってきます!」
「はるくほー……え? ちょ、ちょっと、お客様……」
近藤の呼び掛けに応えることなく、雀藤友紀は通路へと駆け出ていった。
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