✽申し出と親心と奥の手と✽

 場所は変わり、ここはリュコノグル国の王立騎士養成学園の学園長室だ。

 部屋には学園長であるダギル・ヴィムデが居て椅子に座り机上に手を乗せ目の前の四名の教師と生徒を順にみている。

 教師の方はルミカ・クライグとメイミル・セルビノズだ。

 因みにメイミルの名前は偽名でメイフェミール・ヴィムデが本名である。それだけではなく学園長の実の娘なのだ。

 だが、その事実を知る者はルミカと他の二人のみである。

 それと生徒の方はセリアーナ・サフランとシャルルカーナ・ヴィクトノスだ。


「ハルリアが消え、それを追ったカールディグスに元兵団第一部隊のティオル・シフォン。……マルルゼノファ・ヴィクトノスもだったな」


 ハァーっと溜息をつきダグル学園長は再び口を開いた。


「そのマルルゼノファを追ってパルキアも向かった。それから約二ヶ月も経つが、なんの連絡もない」

「はい……心配なので私たちも向かいたいのです」

「ルミカ……気持ちは分かる。しかしお前たちが向かわなくても国で内密に探させている」


 それを聞くもルミカ達四人は首を横に振る。


「それでも、みつからないのですよね?」

「セリアーナ、そうだとしても……お前たちが向かっても足手まといになるだけだ」


 そう言いダギル学園長はメイミルを心配と思いみた。


「大丈夫、足手まといなんてならないです。いえ……気を付けるので行かせてください!」

「メイミル先生の言う通り私たちも気を付けますので」

「うむ、そうだとしてもな……」


 四人が余りにも引き下がらないためダギル学園長は、どうやったら諦めてくれるのかと頭を抱える。

 今かとばかりにシャルルカーナは父バドルフ・ヴィクトノス伯爵からの書状をバッグから出しダギル学園長の前に差し出した。


「これは父からです」

「ヴィクトノス伯爵から?」


 書状をシャルルカーナから受け取るとダグル学園長は黙読し始める。その後、眉をひそめた。

 そこに書かれていたこととは――……


 ……――【……何処に行ったか分からんバカ息子マルルゼノファを探して欲しい。シャルルカーナを行かせるのは嫌だが、この際致し方ない。学園の教師も同行すると云うのであれば問題ないだろう――……】――……


 ……――と書かれていたのである。


「ハァー……伯爵からの頼みか、これじゃ断れんな。仕方ない許可する。但し一日に一度は連絡をするように、いいな!」

「はい! 勿論です。それでは、この四人で」

「ルミカ、いや……待て! 女だけでは……。そうだな……旅立つのは明日にしろ。それまでに男性教師の中から適任者を探しておく」


 そう言われ四人は一瞬ためらったが頷き納得した。

 その後ルミカ達四人は明日旅立つ準備をするため学園長室を出て教室へと向かう。

 四人が出て行ったことを確認するとダギル学園長は引き出しの中から書類の束を取り出し机上に乗せた。


「さて……付き添いに誰を向かわせる?」


 書類を一枚ずつみながらピックアップしている。


「……該当者は、この五人か。この中から更に絞らなければな」


 机上に五枚の書類を並べると頭を抱え悩んだ。


「絞るのは難しい。絞っても二人になる。まあ少ないよりはマシか」


 考えが纏まるとダギル学園長は机上にある魔道具に手で触れ二人の男性教師へと連絡する。

 そして、その後二人の男性教師が部屋に入ってくるなりダギル学園長は明日ルミカ達と向かうようにと指示をだした。

 それを承諾し二人の男性教師は学園長室を出て職員室へと向かう。

 行ったことを確認するとダグル学園長は机上へと顔を伏せる。そして、この先どうなるんだろと思い泣きたくなってきていた。

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