掌編パロディ童話・『時間の国のアリス』

夢美瑠瑠

第1話



 松田聖子さんの曲には、ずいぶんいろいろとバリエーションがあり、趣向が凝らされているものが多かった。気がする。


 「青い珊瑚礁」は、同題の映画があったが、鮮烈な海とブルー、青春、そのエクスタシー…で、18歳くらいの聖子ちゃんのイメージにドンピシャでウケた。

 それが皮きりで、その後、四季折々に、「風は秋色」だの、「真冬の恋人たち」とか、「赤いスイートピー」、いろいろとヒット曲がありました。

 リゾート気分というのか、有名な観光スポットをタイトルに冠した「セイシェルの夕陽」とか、「MAUI」「マイアミ午前五時」。…

 だいたい、そのときどきのトップミュージシャンが、楽曲を担当する感じで、アルバムごとに大瀧詠一とか尾崎亜美とか細野晴臣とかプロデューサーが 変わって、同時代のアイドル好きの若者やったから、ほとんどの曲を、フルコーラスで歌える。

 中森明菜、山口百恵、キャンディーズ、ピンクレディー、とか、その他にも伝説のアイドル、的な方は多いが、曲の世界がこんなに多様で、なんというかそれぞれの曲に小宇宙ユニヴァーシティーのようなものがあるような、そういう歌手は聖子ちゃんくらいかなあとも思う。

 「瑠璃色の地球」を、歌ってサマになるのは、松田聖子ちゃんくらい…

 一種特別で唯一無二の、不世出のアイドルだと思います。


 商業歌謡にもいろいろあって、演歌だと、「酒と泪と男と女」が典型的だが、結局そういうわりかし場末の飲み屋で歌うのにふさわしい?ありきたりなエレジー、生きる苦しさとかを愚痴っているのが多くて、まあいろいろやろが、歌謡曲とはこういうもんだ、と老人が安心する慰安福祉ソング?にすぎない。


 「愛燦燦」という小椋佳の曲を美空ひばりが歌いながら、ちょっと口をゆがめて

嗤っているところを見たことあります。

 「ひとは~かわいい~かわいい~ものですね~♪」のところで、複雑な「へっ」というような笑い方をして、「かわいらしいのはおまえやんか」と?軽蔑したんかな?とか思った。


 70年代くらいのフォークソングはそういう「優しい」のがええとこの気もしますが、演歌にすると甘い感じになる、という気もせんことない。


 で、”アイドル”というのがあらわれて、最近では「シンクロニシティ」などという曲もあり、これはユング博士の用語のことと思いますが、ずいぶん斬新と思った。

 ネタに詰まってだんだんいろんなことを援用しているのかもしれないですが? 歌は世につれ、で、だんだんインテリジェントになってきているというのもあるかも?CIAというのはスパイ組織で、昔は「中央情報局」だったのが「セントラルエージェンシー」に変わっている。 


 聖子ちゃんの歌は、スターダムに登ってから、ずっと”高天原景気”状態だったので、実験的な歌詞がいろいろありました。


 松本隆さんは、「木綿のハンカチーフ」が、出世作で、リリカルで文学的なのが特長。短編小説のような独特の世界が、一曲ごとに構成されていて、だいたい全曲を松本さんが作詞している聖子ちゃんのアルバムとかは、ユニークさとか芸術性?において、他の追随を許さない名曲ぞろいという気がしました。


 だから、オマージュみたいに、短編小説を書こうと思うと、どの曲でも書けて、面白くなる気がする…


 そこから、この「時間の国のアリス」を題材にして、掌編を書いてみたいと思いついたのです。 はからずも、この曲はあきらかにルイスキャロルの名作を踏まえているし、書きやすい気もする…


 昔に、「鏡の国のアリス」という、これも換骨奪胎の小説を読んだことありますが、これは、外国の人が書いたポルノでした。

 で、内容はすっ飛んでいるが非常に感激して、「すごい小説やなあ」と、誰某に推奨したい気分になったが、ポルノなので吹聴しにくくて、ひそかに〇んずりをしてただけでしたw


    

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