バタフライライフ

@Gomiharuka

第1話 サナギ

2024年4月ー。

 五味遥は大学を卒業し、社会人としての一歩を踏み出した。

 

 ドキドキしながら4月1日を迎え、最初の1週間は研修を受けた。同期との仲も深まり、配属先は違えどこれから仲間として一緒に頑張っていこうと話した。配属先が伝えられ、私は南支店配属となった。職務分掌も周知され、自分の担当する業務を知った時はドキドキした。さらに、自分の担当する業務について教えられる人間が支店内にいないことにとても驚き、この職場で大丈夫なのかという疑問も生まれたのが正直な気持ちだった。でも完全週休二日制って言ってたし、ワークライフバランス的には問題無いだろうし、上司も近くにいるから大丈夫でしょ!と思っていたのだ。

 そんな希望が打ち砕かれたのは、6月のことだった。


2024年6月ー。

 まさかの事態が起きた。

 そもそもちょっとおかしいなと思うことは5月にもあった。ゴーデンウィークも働いていたのだ。完全週休二日制でも無かったのだ。この時点で騙されたなとは思っていたが…。

 6月になると朝6:00出勤となった。担当業務の関係だったが、そんなことは企業説明会の際は伝えられておらず寝耳に水だったのだ。また、何の研修も無しに取引先への営業が急に始まった。研修もなければ部署内からのサポートもなく、右も左も分からなかったが、真面目だった私は一生懸命働いた。土日出勤は勤務時間が平日より短くなるので、他の人より休日が1〜2日ほど少なくなる。さらに平日休みの時は取引先から電話がかかってくる。そして土日休みの友人からはいつも遊べないよねと愛想を尽かされる始末だ。真面目に仕事しても評価されず周りには愛想を尽かされ、苦しくて悲しくて涙が溢れ出しそうだった。

 こんな状況は、社会に出て2ヶ月の私には耐え難い状況だったのだ。もしかしたら、周りの人から見れば、甘えだと言われるかもしれない。「俺の時は休みなんてなかった。残業なんて当たり前だった。」と言われるかもしれない。だが私には耐えられなかったのだ。今は1日で会社を辞めるというのもよくあることらしいし、こんなとこさっさと辞めてやろうかなと思ったのだ。しかし、まだ働き始めて2ヶ月。これからもっとやりがいを感じたり、自分のペースで仕事を進められたりするのではないかと思い、まだまだこれから頑張ろうと思った。


2024年7月ー。

今年の夏は暑い。大学時代は車通学でバイト先もアパレルショップだったため、夏に外で作業するということはほとんどなかった。仕事内容が


2025年2月ー。


 そんな生活がずっと続いていた2月のある日のこと、私はついに転職を決意した。

 私は真面目だったので、苦しくても3年間は続けようとか、一生この職場で頑張っていけたらいいなと思い全ての仕事に全力で取り組んでいた。

 だがもう限界だった。こんな職場よりいいところがあるはずだ。今より給料が少なくなっても良い。とにかく休みが欲しい。休みをくれ。そう思って転職活動を始めた。


2025年3月ー。


 転職活動を始めて1ヶ月経ったが、まだ面接にすらたどり着けずにいた。書類選考通過率は20%だとアドバイザーから聞いた。転職活動も就活と同じでそう甘くはない。働きながらの転職活動はかなりつらいが、自分を変えるためだ、頑張ろう。とりあえず次が決まっていなくても6月には辞めてやろうと思う。なぜ6月なのか、それはボーナスが出るからだ。さすがに職無しになった時に貯金がないと困るので会社には申し訳ないが、ボーナスが出てから辞めさせてもらおう…。

 そして仕事辞めたらとりあえず旅に出ようかな。小豆島に行きたいな、オリーブ畑とか風車とか見てみたいな…。心も体も休ませよう。そんなことを考えながら以前の出来事を思い出した。

 退職について相談した時、周りや家族からは退職について反対された。「次働ける保証もないのに辞めるな。」「今より良い職場が無くて次の職場でもまた転職なんてなったらどうするの?」たくさん言われてきた。


 でも私は、何のために働いてる?誰のために働いてる?自分を1番分かってるのはだれだ?

 

 それは私自身のために働いてる、私が生きていくために働いてる、自分が1番自分のことをわかってあげられる。

 辞めたかったら辞めればいい、苦しかったら逃げれば良い。例えそれを責める人間がいたとしても、それは私が気にすることじゃない。もう辞めると決意したんだ。それは私の決断で、責任だ。大人になるとはそういうことだ。

 だから、私は今日も、私のために生きていく。

 

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