グラタンバトル

 コロシアム決勝、数々の死闘を繰り広げてきた戦士たちは、残り2人となってしまった。


「……こい」


「行くぜ!」


 2人は今、優勝賞品のグラタンに命をかけている。


 2人の試合が始まり、もう2時間は経過している。


 それぞれ鍛え上げてきた必殺技や身のこなし、仲間たちとの友情を背負っている。


「俺は、死んでも負けられん」


「ここからが本番だぜ!」


 2人は、グラタンを求めて争っている。


 しばらくの沈黙の後、2人は最後の攻めを見せる。

 剣と剣が合わさり、コロシアムの地に火花を散らす。

 これまでの旅が走馬灯のように蘇り、物語のクライマックスを演出する。


 クールな方は疲れを見せないステップで翻弄する。

 ホットな方は大剣に炎の魔法を宿し身構える。


「この身が滅ぶかもしれねぇが、やるしかないか」


「俺も、命を懸けてお前を倒すぜ!」


 もう一度言うが、2人はグラタンを求めている。


 ホットな方が大剣を鬼神の如く振りかざす。

 すると辺りに凄まじい熱風が吹き荒れる。

 大地は裂け、炎の龍がクールな方に襲いかかる。


 クールな方はその場で何度もステップを踏み、残像が残るほどの速さで電撃を生み出す。

 その電撃は空の色さえも変え、辺りに放電し雷鳴を響かせている。


 裂けた大地から溢れ出るマグマと、襲いかかる炎の龍を、クールな方は華麗に避け、ホットな方に鋭く長い刀を稲妻の如く薙ぎ払う。


 ホットな方も右足を軸に大地を踏み込み、グルっと遠心力を付けて大剣を炎の力で薙ぎ払う。


 何度も言うが、2人はグラタンを求めている。


 2人の剣がもう一度交わった時、一瞬の凪と共に爆煙がその場に巻き起こった。


 観客を吹き飛ばさんとする爆風はしばらく続き、砂埃が2人を包み込んだ。


 そして、2人は地面に背中を預けた状態で、砂埃から姿を現した。


「まさか、俺の一撃を受け切るとはな……」


「お前が、一番のライバルだったぜ……」


 2人の長い旅は、青空の下で終わりを迎えたのであった。


 2人は、グラタンを求めて争ったのだ――。

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