第二話:謎の攻撃
伊400は、ビスマルクに近づいての船体表面を慎重に航行していた。
メインモニターには、ビスマルクの巨大な艦体の詳細映像が映し出されている。
艦橋の中は張り詰めた空気に包まれていた。
「艦長! あれは何でしょうか? 表面に謎の紋様を確認」
「紋様? 詳しく調べろ」
モニターに拡大表示されたその紋様は、幾何学的な模様で、まるで古代文明の遺跡のようだった。
だが、その表面にはわずかに微細な振動が走っているように見える。
「生物反応なし……」
「紋様が……光っている?」
「これは……北欧神話に伝わるルーン紋章ですね?」
歴史に詳しい乗員の一人がモニターを見ながら答える。
「ルーン紋章……なるほど、だが……何かがおかしい」
その瞬間だった。
ズンッ!!
艦体が突然揺れた。
「衝撃!? 何が起きた!?」
「わかりません! 外部からの攻撃反応はありません!」
「なのに、どうして」
ズズズ……!!
艦内に重々しい振動音が響き渡る。
「艦長! 船体に異常な重力波を検知!」
「重力波!?」
「ビスマルクの船体から発せられています!」
メインモニターに映し出されたルーン紋様が、今度は明らかに脈動していた。
脈打つように、重力が圧し掛かる。
「艦長、船体が圧縮されています!!」
「何!?」
ギギギギギッ……!!
船体が軋む音が響く。
圧力が急激に増し、内壁がたわむ。
「重力波の強度、急上昇!! このままの状態での圧力限界まで5分!!」
「このままでは艦が潰れる!!」
「機関出力最大! 重力から脱出する!! 急げ!!」
日下の命令が艦内に響き渡る。
「核融合炉出力、限界突破を許可する! フルパワー!!」
核融合炉の出力が上がり、伊400が脱出を試みる。
だが――
ズシィィィィィン……!!
「駄目です!! 重力場に捕らえられています!!」
船体が振動し、クルーたちが必死に計器を操作する。
だが、重力波はますます強まっていた。
「このままでは……!」
「くそっ……!」
日下は歯を食いしばり、モニターを睨みつける。
その時、モニターに異変が起きた。
ビスマルクの紋様が、ゆっくりと"開いて"いく。
「……何だ、あれは……!?」
開いた紋様の奥に見えたのは……赤い光。
まるで瞳のようにゆっくりと動き、伊400を"見て"いた。
「まさか……"意思"があるのか!?」
ゴォォォォォン!!
突如、重力波がさらに増大。
「圧力限界突破まで1分に縮小!! 船体に深刻なダメージ発生!!」
「……数百年ぶりの危機だな、恐らく古代で起きた“ラグナロック”関係かもしれないぞ! クソっ!」
「このままでは耐えられません!!」
日下は決断した。
「武御雷神の矛、チャージ!! これに賭ける! このままでは沈むぞ!!」
「しかし艦長、この距離で撃てば!」
「撃たなければ潰れる!!」
「エネルギー充填開始――!!」
武御雷神の矛の砲口が開き、青白い光が集束する。
その瞬間、赤い光がさらに眩しく輝いた。
「艦長、何かが――!!」
ズシィィィィィィン!!!
重力波がさらに増大した――!
「限界まで20秒を切りました!!! 圧縮される――!!」
「くそっ……!!」
橋本が叫んだ時、日下は武御雷神の矛のトリガーを引く。
「発射!!」
蒼白い閃光が、深海を裂いた。
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