第311話 自動追跡機能の考察
「動く写し絵」で表示している相手を自動で探す様にするには、相手を識別する情報が必要だ。
ふと思いついたのは、「毒探査」の魔道具だ。「毒探査」の魔道具は一定間隔の位置に毒があるかないかをチェックして表示するものだ。
「毒」のあるものは一つじゃないから沢山の場所が表示されるわけだけど、
確認に使っている手段は「毒鑑定」だ。毒鑑定で個々の識別までやるのは難しいかな。
普通にやるにしてもどうやったら良いかわからないのに、魔道具の毒鑑定は、直接見るのに比べて精度が低くなっちゃうみたいだし。
もうちょっと僕の「毒鑑定」の熟練度が上がったら、できる様になるかもしれないけど今は違う方法を考えよう。
今まで作ったもので考えると、「お話」の魔道具だって相手識別している。「お話」の魔道具の機能の中で「相手の声を受け取る」機能なしで、話す方だけの機能にするとか……。位置さえわかれば音は収集しているから
「話す」機能も不要かな。
機能を限定すれば魔力の消費が抑えられるし。
考えたのは「お話」の魔道具で使っている識別情報を魔法陣で周囲に発する様にするんだ。
思いついた魔法陣を雷の魔石に刻む。
それを魔石じゃなくて魔獣の皮に転写する。魔獣の皮も魔力を帯びているから、自動発動するよう魔法陣にしておけば
位置情報を発散し続ける様になるという計算だ。
魔獣の皮に刻んだ識別情報を、探して検知する仕組みを作る。部屋の中という狭い範囲の中で位置を表示する様にして
現在の位置を表示した。ちょうど部屋の真ん中より少し右くらいに点が表示されている。うん、合っているようだ。
魔獣の皮を移動させて、位置表示が変化するかを確認してみた。
ポイっと魔獣の皮を放り投げると兄上が拾い上げて、ぶらぶらする様に手に持って僕に尋ねた。
「動く写し絵」の位置指定は今はメイリが真剣な顔で取り組んでいるようだ。
「クリス、ボロ皮なんか放り投げて何やってるんだ?……まさか、また何か作ってるんじゃないだろうな」
少し探る様な口調になって訝しげに僕の方を見る。
え?何かまずいこと合ったかな?
「作ってるよ?」
「……やっぱり……。何を作ってるんだ?」
「今の位置を指定する『動く写し絵』って、相手が動いちゃったら位置を指定するのが大変じゃない?
それがちょっと楽になったらなと思って……。……『作ってる』って言ったけど、『作り直してる』の方が合ってるかな」
「『ちょっと楽になる』って何だ?追尾機能でもつけたのか?」
「『追尾機能』?……そうかも?」
「追尾」って追いかけることだよね。今、作り替えている魔道具は識別情報を元に、対象が移動しても位置を探し出す機能だから
単純に追いかけているわけじゃないと思うんだけど。
でも、結果は同じようなものだと思う
「『そうかも?』って何だ? 何で曖昧なんだ?」
「まだ実験中だし……」
一応、「位置表示」魔道具には、魔獣の皮に魔法陣を刻んだものの位置が表示されている。
魔法陣はちゃんと発動しているようだ。
後は、雷の魔石に刻んだ魔法陣を、離れた場所の対象に刻むことができるかだ。
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