第261話 川の毒事件の考察

少し息を弾ませて、不安そうに眉間に少し皺を寄せているメイリに話しかけた。


「メイリ、何か聞いたの?」

「母様が、『何かあるといけないから、離れから出ないように』って」

「ああ……」


どうやら、黒ローブの男を捕獲した事を父上経由で聞いた母様が、

用心の為に外に出るなってメイリに伝えていたらしい。

僕達が帰って来たから何か知っているかと思って訊きに来たようだ。

確かに、黒ローブの男は使う魔法もわからないし得体が知れない。もしも逃げ出したりしたら、危険だよね。


ローブの人物が川に小瓶の液体を流し込む絵はメイリにも見せていたので、

それらしい人物が現れたので捕獲したという説明をした。

事前に絵を見せていたので話しを理解してもらうのが早い。


「え!本当に現れたんですか?」


メイリは驚いた様子で目をまん丸にした。確認するように絵に顔を近づけて凝視している。


「この絵の場所って、ゲンティアナだったってこと?」

「いや、場所は絵の場所とは違ってたかな」


川に沿って進んでいた時に尖った山は見えないか確認しながら歩いていたけど、それらしい山は見つからなかった。

黒ローブを捕まえた時だって、周囲を見回したけど尖った山は見えなかったし、川や近くの木々の雰囲気だって違っていたと思う。少なくとも、今日行った川の上流の場所とは違うと思う。


「違う場所に毒を撒いていたということ?」

「そうなるな……」


メイリの言葉に兄上は腕組みをして首を捻った。


「……予定と違う場所に毒を撒くことにしたのか……。それとも、あちこちに毒を撒いているのか……」


兄上がゆっくりと僕の方に顔を向けた。


「毒の瓶、あいつ何本か持ってたよな」

「持ってたね」

「あれを一箇所に撒こうとしていたのか、それともあちこちで撒こうとしてたか、だ。

 予定していた場所の一つが、絵に描かれていた場所なんじゃないか?」


皮袋の中に割れた瓶が入っていた光景を思い出した。陶器らしい小瓶が4、5本は入っていたと思う。

それだけあちこちにばら撒くつもりだったのか。あの毒の瓶は全部じゃない可能性だってある。


「何の為……?絵の場所がゲンティアナじゃないとしたら、ゲンティアナとそれ以外の場所を狙ってるってことだよね」

「殿下が滞在している場所を狙っているとか」

「もう、殿下はゲンティアナを出られているよ」

「急に発たれたから、まだゲンティアナにいると思っているかも」

「いや、流石に大行列だから気づくだろ」

「殿下に協力したから狙われたとか」

「怖!」


あれこれと考えを出し合ってみたのだけど、良くわからないことが多い。

黒ローブの男から何か聞き出せていると良いんだけどなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る