第19話
私たちの思想検査……でいいのかな?危険人物かどうかを調べることがあってから数日私と夜さんは何事もない日々を過ごしていた。
何事もというのは嘘かもしれない、私は恋人になった夜さんとイチャイチャしてラブラブな日々を過ごしていた。
好きな人と一緒に過ごす日々って言うのはどうしてこんなに景色が輝いて見えるんだろう……
「彩夏ちゃ~ん最近ずっとニコニコしてるね~」
「そう見える?今度のゴールデンウィークに夜さんとデートする約束しててね、それが楽しみでしょうがないんだよ!」
「幸せオーラを振りまくのはいいけどさ~周りの人の目も気にした方がいいと思うよ~」
いつも通りほんわかとした口調でそんなことを言うが瞳の目は笑っていない。
「えっと……ごめん」
「なんで謝るのかな~?私は彩夏ちゃんが授業中に寝てることに怒ることはあっても幸せオーラを否定したいとは思わないよ~幸せっていいことだしね~?ただ~それらが同時に起こるとちょっとひっぱたきたくなるくらいだよ~」
「ほんとにごめんなさい!」
とりあえず謝罪だ。体を九十度に曲げて全力で謝り倒す。心がこもってないと思われるかもしれないがそんなことより行動が大事というのが自論だ。
「いや~私は失恋したのに~友達は恋人出来るとこれが嫉妬か~ってなるよね」
「失恋?失恋したの誰に!?」
「ねえ、彩夏ちゃんそれふざけて言ってるのかな~?」
「そんな思わせぶりな態度で考察させるってことは……私ってこと?」
「なんでそうなるのかな~?私別に彩夏ちゃんのことを恋愛対象として見たことないよ」
「うそうそ、冗談だって。里瓜先生のことでしょ?」
私の
「そうだよ~あんだけ拒絶されたら嫌でもフラれたってわかるよ~」
「まあ元々生徒と先生の関係なんだし駄目で元々だったわけじゃん?」
「そうだけどさ~そっちだって同性同士なんだから条件そんな変わんないはずじゃ~ん」
「私たちはそれまで培ってきた関係性から発展しただけだから結構違う気がするけど」
「う、それはそうかも~」
机に突っ伏す彼女を見てるとどうにか力になってあげたくなる。
「ねえ瞳、きっぱり諦めるなら相性占いとかしてみてもいいんじゃない?」
「うらない~?私ああいった非科学的的なもの信じてないよ~?」
「それは私もそうだけどさ、何かを諦めるきっかけにこそ理由が必要でしょ?新しい恋も見つかるかもだしね!やってみよ?」
ふとあやかしの私と陰陽師の一族である彼女が占いを非科学的なものをだというのはおかしいという考えが頭をよぎったが一旦置いておくことにした。
「……しょうがないな~彩夏ちゃんは」
「とりあえず相性占いで検索してきた時に一番上出てきたサイトでやってみる感じにしよっか」
そうして私はスマホを取り出しググってみる。一番上に出てきたのは魔女の占いといういかにもそれっぽいサイトだった。
「瞳これなんかどう?」
「私いつも思うのがこういうのって毎回更新してるんだろうけどてきとうないつも文章考えてるのかAIに考えて貰ってるのかどっちなんだろうね~」
「流石にAIでしょ。こんな曖昧なものを頼ろうとするなんてそんな人間少ないだろうし一々考えてたらタイパが悪いよ」
「それもそっか~それで、このサイトはどうやって占うのかな~」
「えっとね、相性診断したい二人の誕生日を入力するみたい」
「私の方はいいとして~里瓜先生の方の誕生日かぁ~彩夏ちゃんは知ってる?」
「知らないけど聞いてみようか?」
一旦画面を閉じてメッセージアプリを起動する。『ちょっと相性占いをしたいので誕生日教えてください』と送るとすぐに返信が来た。マメだなあの人。送られてきたのは運転免許証の写真だ。やっぱりこうしてみるとこの人やっぱり顔がいいな。
じっとその画像を眺めていると背筋に悪寒が走った。え、なにこれ殺気!?
バッと顔を上げると瞳がこちらをじーっと見ている。
「あ、ごめん。相性占いだよね運転免許証の写真送ってきてさこれで分かるっぽい」
早速サイトに瞳のから聞いた誕生日と里瓜先生の誕生日を打ち込んでみる。ちょっとローディングを挟んだ後結果が表示された。
「結果は……マッチ率82%あなたたちは長い付き合いの友人。過去に進展するチャンスはあったけどものにできなかったからその関係に。だって」
「う~ん、なんとも言えない結果になったね~」
いい感じに諦める理由を探すために行った相性診断だが結果は良好と出てしまった。これでは踏ん切りがつきそうにないなと思ってしまったがそれを見る瞳の顔は言葉とは裏腹にスッキリしているようだった。
「あれ?若干いい結果になったのに大丈夫なの?」
「いいんだよ~別に~」
「それならいいんだけど……」
「あ~私この後用事あったの思い出したからじゃ~ね~」
「あ、うん。ばいばい」
放課後の教室で一人になってしまった。暇だ。夜さんは今日は忙しいとかで一緒に帰れないし。よし、街歩きでもするか。
____________
「占いなんて信じてないのはほんとなんだけどやっぱりヘコむな~」
一人で下校しているとどうしてもよくない考えが浮かんできてしまう。さっきの相性診断で彩夏ちゃんに教えたのはお姉ちゃんの誕生日だ。
私とお姉ちゃんは小さいころから好きなものが似ていた。いや、どっちかというと私がお姉ちゃんの好きなものを好きになっていったが正しいのかな。
だから好きな人の傾向も同じになるとはなんとなく予想していた。でも二人して成就する確率が低い物件を好きになるのは我ながら少し笑ってしまう。
だからお姉ちゃんとの相性が悪かったら諦めるつもりであった。しかし結果は逆のお姉ちゃんとの相性は良好と出た。
しかし残念なことにそれならそれで簡単に諦める理由を思いついてしまった。
お姉ちゃんはいつも優秀だった。親戚から褒められるのはいつもお姉ちゃんで私のことなんか誰も見向きもしなかった。
それに単純な学業成績だってそうだ。お姉ちゃんいつも学年上位であり続けたらしい。そんな話を本人はなんてことないように言って私の勉強を見てくれたりした。
優しくて優秀なお姉ちゃんだからこそ、私とどちらを恋人にするかと聞かれたら100人中100人がお姉ちゃんを選ぶだろう。
だからこそ根拠のない
そういえば先日彩夏ちゃんのカバンを保健室に持って行ったときにわかったことだが里瓜先生はお姉ちゃんが秘密にしていることの関係者らしい。それとプラスで最近恋人になったらしいあの二人も。
私には絶対に教えてくれないのは私がまだ若いからだと思ってた。だけどあの二人も関係していることなら私と彼女たちの共通していない点はどこだろう?
私はお姉ちゃんが抱えている秘密を知りたい、共有してほしい。彼女の背中を
「あれ、こんなところにお店あったけ?」
下校途中ふと気になるお店を発見した。
確かここは今朝まで空き地で雑草も生えていたはずだが目の前にはどう見ても一軒家が建っている。そして看板にはこう書いてある。魔女の占い、と。直前まで同名の相性診断のサイトについて考えていたからだろうか。私は何の躊躇もなくその館へと足を踏み入れた。
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