第11話、アイアン家初代の遺言状。

 

『ワイ君また、何かやっちゃいました?』


 何故だか、いつもは優しいアネウットに泣かれた。

 怒られた。


 母上も怒っとる。

 だが、どうすればいいんや?


 怒られとる理由も、解決策もわからん。

 だからワイ君は無能といわれるんや。


 ハ!

 そ、そうや!


 男女関係で困ってケンカした時には………

 父上の祖先。

 アイアン家、初代アイアンの魔法の言葉を唱えるんや。


 父上から、そう教わったで………

 確か………魔法の言葉を、こう唱えるんや。


「ーーーアイアン家、伝承口伝


 女癖の悪い男が、自由恋愛で結婚して子供を作る。

 すると、大抵は女の子が産まれる。


 生命の神秘。

 たぶん産まれてくる子供は、次世代の子孫繁栄を少しでも有利にする為に、受精する。

 つまり産まれてくる子供の性別は………


 男女でおこなう夜の関が原の合戦の勝者。

 それと同じ性別の子供が産まれてくる。


 夜の関ヶ原の合戦に強い男。

 その男が産ませた、男の子は遺伝的に、夜の関ヶ原の合戦で強い男になる。


 そうなる可能性が高い。

 するとモテる確率が高いので次世代の繁殖が楽になる。


 夜の関ヶ原の合戦に強い女。

 その女が産んだ、女の子。


 その女の子は当然。

 遺伝的に………夜の関ヶ原の合戦で強い女になる可能性が強い。

 とうぜん、その子は成長すればモテやすくなるだろう。


 つまりは………次世代の繁殖が上手く行くように、男女、夜の関ヶ原の合戦に勝った方の性別の子供が、この世に産まれてくるのだ。


 夜の関ヶ原の合戦に負けた男は、女の子を授かり………

 夜の関ヶ原の合戦に勝った男は、男の子を授かる。


 夜の関ヶ原の合戦に負けた女は、男の子を、授かり………

 夜の関ヶ原の合戦に勝った女は、女の子を授かる。


 生命の神秘。

 自らの子孫。

 次世代の生命が、よりモテて、より繁栄しやすくするためのシステムだ。


 一夫一婦制、結婚制度のある国。

 そこでは女癖の悪い男は、女の子を持つ確率が恐ろしく高い。


 つまりは………

 女癖の悪い男は、己の胃袋ではなく、玉袋を掴んだ女に惹かれてる。


 自分よりも夜の戦が上手い女を探し、結婚して子供を作る性質を持つと言う事だろう。


 たぶん女癖が悪いという事は、恋愛を重視して、男女の夜の関ヶ原の合戦を重く見る事でもあるからだ


 つまりは、夜の関ヶ原の合戦。

 夜の男女の戦場は、

 せいしをかけた戦いなのだ!


 それ故、我が子孫には………

 アイアン家秘技、

 この【夜の関ヶ原の合戦房中術】を残す。


 我が子孫よ。

 子孫繁栄の為に、この秘技を使い。

 種を、まけよ増やせよ世に満ちよ!


 アイアン家、初代

 アイアン、アイアンの遺言第1章より

                  」



 ワイ君が子供の頃に………

 大切な事だから暗記しておけと、父上から教わった、父方貴族アイアン家の祖の大切な言葉。


 初代アイアンの遺言。

 無能なワイにも普段は優しい父上が、珍しく真剣に、無理矢理強制してでも覚えさせた教え。


 成長してから、口に出してみると………

 ワイ君の父方の先祖は………

 なかなか半端やなかった。

 あ!


「ファ〜〜〜。今わかったで! ワイがアネウットから教わった技術は……… 昔、父上が言ってた。父方の先祖が編み出した技術と、同じものやったんか〜〜〜」


 アイアン家始祖の遺言、そして始祖が残した技術。

 半端なかった。


 要所要所、まだまだ無能なワイ君には理解できん部分もあるが………

 世の中凄い男がいるもんや。


 我が先祖ながらも感心するで〜。


「た、確かに旦那様アイアン様からも、その遺言は聞いた事があります」

「な、私は聞いた事がありませんよ。そんなアイアン家の狂った遺言なんて」


 アネウットは納得しているが。

 母上が動揺している。


 ホンマに今日は、母上の表情がコロコロよく変わる日や。

 珍しいで、ホンマに。

 いつもは母上冷静なのに。


「………だから旦那様、アイアン様は、初代アイアン様の遺言を守る為に、私に………」


「あの馬鹿アイアン。私は、そんな事全く知りませんでした。あ、あのアホアイアン」

「母上知らんかったんか?」


「ええ。アホだ、アホだ、とは思っていましたけれども。ここまでアイアン家が、アホな一族だったとは………」

 母上はギリギリと歯ぎしりしてる。


「そう言えば、母上の子供達。ワイ君の兄弟は3人とも男や。母上は父上に負けっぱなしやったんか?」

「!!!」


 ワイ君の言葉に、怒り狂っていた母上が、かたまった。


「何であれ、有能な母上に勝ち続けるとは、アイアン流、【夜の関ヶ原決戦房中術】は、大したもんやなぁ」


「確かにそうですね。若さま、よく気が付きましたね」

「アネウットの、お腹の子供も男の子かも知れんなぁ」


 その言葉を聞いて、呆然と固まってた母上の目がアネウットにむけられ、光る。

 あ、母上はまだ怒っとる?


 女性は理屈よりも、感情を優先する事があるから怖いなぁ。


◆◆◆


 どんな異性でも口説ける猛者は、

 口説いたどんな異性でも、アッサリと捨てる事も出来る猛者だ。


 誰彼口説く異性の猛者に口説かれた場合。

 それに応じると

 自分も、いつ捨てられるかわからない。

 そんな覚悟と心配を抱え込む必要がある。


 自分が猛者に選ばれた。

 競争に勝って猛者を入手した。

 喜んではいけない

 そんな愉快な勘違いをしてはいけない。

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