第238話
「あの子が何やらかしたか教えてやろうか?」
呆気なく差し出されようとする情報。
普通じゃ考えられない状況が意味することをやっと察した。
情報を漏らそうが大した問題にならない。
今日、今この瞬間に起きたことは無かったことになる。
そんな気がした。
渚の将来は守られ、このオッサンが捜査情報を漏らしたことさえ問題にならない。
生々しい裏側を見せつけられた気がした。
「ヤバイ奴らの下で薬捌いてたんだよ。それも単なる小遣い稼ぎじゃなくお前らみたいな若いのを束ねる側にいる。
危ない橋渡ってそこらで売り捌いてる奴らの上に立ってるんだよ。ガキの使いでしたなんて言い訳も通じないって訳だ」
渚に限ってあり得ないと思った。
薬?ヤク?
若いのを束ねる側?
普段なら笑い飛ばせるほどのぶっ飛んだ話だ。
だけど今この状況がそうはさせてくれない。
追い打ちをかけるように香澄の息を呑む声と嗚咽のような鳴き声が背後から聞こえ、目が眩んだ。
そして冷静すぎる一世の表情が、バカげたその言葉に拍車をかける。
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