第58話
再会した日の翌々日にお兄ちゃんは日本を経った。
近々また戻るからと言い残して。
残されたのはまた会えるという約束と、いつでも気兼ねなく電話で話せるようにとお兄ちゃんが与えてくれたスマホ。
登録された番号は三つ。
お兄ちゃんのプライベート用携帯の番号。
お兄ちゃんの香港の家の番号。
お兄ちゃんの香港オフィスの番号。
他に使うあてもなく、兄専用電話になる予感しかない。
宝物が増えたと私はそれを握りしめて、踊る心を抑えきれず子供みたいにはしゃいでた。
昔経験した突然の別れとは違う。
近い未来の約束がある安心感。
強がりも涙も要らない、むしろ笑顔が溢れた別れだった。
寂しくなんてなかった。
手元にはいつでも繋がれるスマホ。
また会える。
十分に信じられる約束が残されていたから。
それに一緒に暮らせる日を夢見て今まで待ったんだもん。
もう少し待つくらい何てことない。
その先に見えたのは、私がずっと求めていた未来だから。
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