第46話

「家に帰ってきて……」


「なぎさ―――…」


「もうあの家で一人で居るのは嫌っ、何処にも行かないでほしい」




仮面を被った自分が当たり前だった。


気持ちなんて吐き出すだけ無駄だと思ってた。


口にすることに意味なんてないと思ってた。





だけど今は、伝えたい想いがある。

聞いてほしい我侭がある。


それは悪いことじゃないんだって譲がそう教えてくれた。


ぶつけろって、吐き出せって、言ってくれたから。





現実では起こり得ない小説の中の偶然には、簡単に感情移入するくせに。

現実に起こる小説の中のような偶然には、全く機転がきかない。




何が現実なのかなんて分かりきっているのに。

それでも小説を読んでる方がリアルだったり。


つくづく人間っておかしな生き物だと思った。




地に足がつかない。

台風の目にいるみたいだった。


そんな中でこれ現実だと確信出来たのは譲が傍に居たからだと思う。



傍にいてくれてよかった。


ありがとうと心で囁いた。

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