第15話
「心配かけてごめん、」
罪悪感が膨らんで膨らんで、 消えてしまいそうだった。
そんな私を譲は睨みつけるように見下ろし、深い溜息を吐いた。
「お前マジふざけんなよ。俺をここまで振り回すヤツお前くらいだって」
言うと同時に引き寄せられていて、近すぎる譲の震えた喉が罪悪感しかない胸を締め付ける。
「聞いた時の俺の慌てっぷりを見せてやりてえわ」
「どんなだったの?」
「車あったのにタクシーできた」
「あははっ、それは深刻ね」
「笑えねえな」
「だよね。ごめん」
「取りあえず顔見て安心したから許す」
言葉にならない思いをぶつけるように抱きしめる譲の手には必要以上に力が込められていて。
その思いを言葉で解消してあげられない私は、少し痛いと感じる抱擁を静かに受け止めるしか出来なかった。
「ねえ、一世は――、」
「俺と入れ替わりで帰った。勝手に鍵使ってごめんて。コンシェルジュがお前倒れんの見てて家まで案内してくれたから入れたらしいよ」
「……それだけ?」
「他になんかあんの?」
「そういうわけじゃないけど……」
「つまんねえ勘ぐりはやめろって釘さされたけどな」
言われて気付く自分の無神経さ。
だから私は自分が好きになれない。
「ごめん」
「別に怒ってねえよ」
「言い訳しなきゃいけないようなことは何もないの」
「分かってる」
「………」
「これでも前よりはこの関係信じてるつもりだけど」
体を包んでいた手を解いて、苦笑いと紙一重の笑顔を見せる譲に対して消化しきれない思いが積もり積もってゆく。
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