心霊写真
原口 モ
第一話 写真
「この写真を見てもらえますか」
彼はそう言って、スマートフォンの画面を私(
彼は
沈黙をやぶり木下さんが、こうきりだしてきた。
木下「ところで岩田さん。オカルト系とか興味あります?」
私 「え? 幽霊とかですか?」
木下「はい。幽霊とか未確認のやつとか。呪物とか心霊写真とか……」
私 「どうしたんです急に。まぁでも、嫌いじゃないですよそういう話は」
木下「幽霊見たこと……」
私 「ないですないです。霊感とか全然ないですよ」
木下「信じますか? その…… オカルト的なこと」
私 「信じたいという気持ちはありますね。でも遭遇するのは怖いから嫌です」
喫煙所に今は二人しかいない。木下さんは入り口の方を気にするしぐさをし、人が来ないのを確認しているようだ。
木下「この写真…… 見てもらえますか」スマートフォンの画面を私に見せる。
私 「うわ!」思わず声がでた。
木下「どう思います?」
私 「な、なんですかこれ……」
木下「僕の妻が撮った写真なんですが、わかりますよね?」
木下さんのスマートフォンの中の画像は、ひと目でそれとわかるものだった。いわゆる心霊写真とよばれるものだった。なんとなくそう見えるとか、よく見るとここに顔らしいものが、とかではない。
木下「これ娘なんですけど、後ろの方に……」
私 「わかりますわかります。さすがにわかりますよ」
木下「どう思います?」
私 「いやぁ…… 霊感とかないと思うんですけど、ちょっと怖いですね」
画像には三、四歳くらいの女の子が写っている。公園で片手に小さなバケツ、反対の手に泥のついたスコップを持って楽しそうに笑っている。とてもかわいらしく、微笑ましい写真。
ところが…… その女の子の後方に二人の人物が写り込んでいる。中学生男子だろう。向かい合って立つ二人の少年たち。二人のうち一人だけようすがおかしい。
頭部が………… なんと表現したらいいのだろうか。なんかこう、グシャッとなっている。もう一人の少年と例の少年の首から下は鮮明に写っている。首から上だけが物凄いブレかたをしている。体がなければ、そこにあるのが頭や顔とわからないほどに。
木下「怖いですよね」
私 「不気味ですね」
木下「中学生ですかね」
私 「そうですね。うちの息子と同じ制服で…… す」
──ん?
木下「どうかしました?」
私 「あ…… いえ。うーん……」
──横田くん?
私は画像に写る二人の少年の一人が
木下「なにか気になるところがあるんですか?」
私 「ええ、まぁ。 …………拡大してもいいですか?」
木下「もちろんです。どうぞ」
スマートフォンの画面、二人の少年が写っている部分を指でひろげる。拡大された二人の少年たちをよく見る。
私 「………… まさか……」
──正太……
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