ハーフ&ハーフに生きていく
バンゾク
1
何もない田舎の農道を自転車こいで進んでいく。
いや、厳密に言えば左右にどこかの誰かの畑があってビニールハウスが施工されているわけだが、何もないって言っていいだろうなこの地域は。
俺が生きている国では都会と田舎でそれほどの格差ができていた。
自宅から十五分。コンビニに到着して自転車を停めて鍵を抜く。
自動ドアをくぐり中に入ると入店の音楽が流れる。それから二十秒程して店員が裏から出てくる。
「はーいいらっしゃい。ああハツキじゃないか、今日は何買ってく?」
無精髭を生やした白髪の店員は、この店唯一の店員である。
「サマラさんこんちは、やっぱり暇そうですねこの店」
「そりゃあそうよ。こんな田舎の店に人が来るもんかね」
頬杖をついて笑うサマラさん。
俺も笑い返すと、コンビニのスピーカーからアナウンスが流れる。
『ヤナギワシティには全て揃ってる!飲食娯楽、交通機関や格安物件、仕事だってもらい放題!ヤナギワシティに暮らせば毎日が幸せ!行こう!ヤナギワシティ!』
アナウンスが終わると、サマラさんは深くため息をする。
「毎日毎時間これだよ。転職したくなっちゃうね」
「はは、ヤナギワカンパニーのコンビニなんだから仕方ないですよ」
「まあ転職したところで変わらんだろうけどな」
ハッハッハと豪快に笑うサマラさん。
冗談のように聞こえるが、実際の話現在我が国はヤナギワカンパニーが牛耳ってると言ってもいいシェア率を誇っていて、どんな仕事に就いても全て元を辿ればヤナギワカンパニーが親会社にいる。
そんなヤナギワカンパニーが、発展を繰り返して影響力を広げていき、各地域の代表者がヤナギワカンパニーを受け入れた場合はその恩恵を授かり、どんな寂れた田舎も都会へ早変わりし、反骨精神を拗らせてしまった代表者がいる地域は、どんどんと取り残されて人が離れて廃れる。
そう、察しがつく人はわかるだろうけど俺がいる地域はアホな大人のせいで殆ど滅んだと言える衰退の道を歩んだのだ。
「ありがとうなハツキ」
「人がいるお店なんてここくらいなもんですからね。そらじゃあまた」
温かいファーストフードとカップ麺を買い込んで、自転車の籠に買い物を入れて、自転車の鍵を解除してこぎだす。
「は~、十四歳にして負け組かぁ」
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