やっぱり…莉琉ちゃんは、奏斗先輩を×××××

鳴宮琥珀

本編

プロローグ  奏斗先輩は攻めたい?


「んぅ……ん、ふ…」



 彼女にこうされると、頭が真っ白になる。

 僕は王子様のはずなのに、僕がリードするはずだったのに…

 でも、何も考えられないくらい気持ちいいことで頭がいっぱいになって、ふわふわする。



「は……かわい」



 間近で僕を見た彼女が微笑む。可愛いなんて、言われ慣れてないからどう反応すればいいのか分からなくて恥ずかしい。



「っ……?」



 焦点の定まらない目で彼女を見つめる。キスされると、いつもこうだ。示しがつかない。

 流されまいと姿勢を正していっても、気づいたら彼女のペースに乗せられる。



「先輩、大丈夫?」



 彼女が僕を覗き込む。次第に焦点があっていき、目の前にいる人の輪郭がはっきりする。



「⁉」



 思わず口を塞いで後ずさった。後ずさったと言っても、後ろは壁なのでほとんど意味がない。



「ふふ、かわい」



 彼女は再びそう微笑むと、僕の頬に手を伸ばしてきた。反射的に目をつむっていた。



 こんな夢みたいなことが現実で起こっているなんて、いまだに信じられない。あの時、彼女に声をかけた結果、こんなことになるなんて……

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