第36話 勝負

 「勝也!勝負や!」


 朝からクラスでは大変な事が起きていた。みなが騒然としている。三馬鹿トリオが火脇氏に挑戦状を叩き付けた。


 「勝負ぅ?面白れぇなぁ。どれでぇ勝負ぅしようってんだぁ?!」

 「お笑い勝負や。笑わせたらワテらの勝ち、笑わせなかったらワテらの負けや」


 クラスは喧騒に包まれる中、俺氏と麻居氏、まどか氏は戦況を見守っていた。


 「私達に出来る事はないの?」


 ないだろ。マイマイは心配しすぎなんだよ。昨日も三人で十分だ、って言ってたでしょうが。


 「しかし、どうなるでござるか……」


 そしてお笑いが始まる。


 「いやぁ飲み過ぎた。ヘロヘロヘ〜イ。あっ、こんな所に寿司屋が!入って見よ」

 「大将はん。一貫握ってくれや」

 「ヘイ!らっしゃい。マグロ一丁!」


 晋家氏と角藤氏は一口食べる。フリをする。


 「この寿司、旨っ!ネタが新鮮でシャリもシャリシャリ程よく酢と絡んで最高や!」


 ……見たところ、火脇氏は笑っていない。が、取り巻きの水海氏と土居氏は大爆笑していた。


 「面白すぎるなんで。かっちゃん、負けでいいんで」

 「笑い死ぬっしょ。負けた負けたっしょ」


 三馬鹿トリオの勝ちかと思われたが火脇氏は笑っていないだけではなく怒りを溜めている。表情を見れば分かるだろう。しかし一矢いや二矢報いている。その証拠に水海氏と土居氏は大爆笑だ。これで十分だと思う。火脇氏には勝てるまい。なぜなら火脇氏には力がある。キレると誰も止められない。


 「あー?それがぁオワライぃか?面白くねぇんだよぉ。ぶっ殺すぞぉ!」


 火脇氏は角藤氏にドスの効いた声で言う。その一言で勝負は着いた。三馬鹿トリオは三人揃って灰になりチーンとしている。流石はスクールカースト頂点のジョックだ。


 「ちょっと恋吉さん。また負けてるじゃないの」

 「本人達の実力が及ばなかったんだ。しょうがないだろ」


 火脇氏の勝ちで今回も終わった。

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