第28話 忘れてた依頼
「朝の事、どうにかならないの?私とても腹が立つわ」
「依頼ではないだろう?首を突っ込むべきではない。それにヒーロー家業は昔の俺氏だ。今は“クズ”だぞ?手を下すのは反対だね」
「そうね……」
それっきり、この古びた部室に静寂が訪れてしまった。えっ?悪い事した?俺氏は“クズ”になるんだぞ。麻居氏はプンスカと不機嫌だが、三馬鹿トリオにここは任せた方が良い。
「それより俺氏の依頼はどうした?」
マイマイにズバコーンと雷が落ちる。もしかして……。
「完全に忘れてたわ」
「オイィぃぃ!!」
「分かっているわ。クズノートを見ましょう?」
“クズ正しくとも人を傷つけず、真っ直ぐであってもそれを押し通さず、光っていても人の目をくらまさない”
「今回はこの一文を抜粋したわ」
と麻居氏は古い黒板に書く。
「分かる?“クズ”は人を傷つけないの」
「普通、傷つけるのが“クズ”ではないか?麻居氏」
「しかもね、恋吉さん。真っ直ぐ、いわゆる。良い事をしても偉いと思わないの」
「“クズ”が良い事をすると言うのか?何でだこりゃ」
「最後の一文もあるわ。光っていても、つまり才能があっても隠すの」
「何で隠すんだ?」
「分からない事ばかりね。アナタどうかしてるわ」
そう言って紅茶を飲み直す麻居氏。昔の俺氏は意味が分からなかったのか。パーフェクト超人だったんだぞ?全て繋がっているはずだ。一人唸っているとマイマイは言う。
「ゴミ拾いに行くわよ」
「ゴ、ゴミ拾いぃー!?」
「ゴミ拾いこそ、人を傷つけず、偉いと思わず、隠れてする事よ」
なるほど、天才だなっ!……ってそんな訳ないだろ!
「ゴミは“クズ”と一緒よ。さ、行くわよ」
マイマイはいつも勢いとその場の発想で行動するよな。それが良かれ悪かれするんだな。えぇい。ゴミ拾いか、やってやる。メラメラ、いやメラメラしてもしょうがないのか。俺氏達二人は校庭にやって来た。ゴミか、フハハー!ゴミがゴミの様だ。大佐ぁ〜!なんて言ってる間にゴミが一つ一つ集まっていく。な、な、何じゃこりゃぁ!これが“クズ”
なのか。オーバーソウル優作……って意味わからん。う〜ん深いですね。これがクズ
行動!なんと言うかゴミ一つにも趣がある。
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