第23話 角藤笑也の憂鬱。

 「友達がいないんだってな」

 「と、友達ぐらいおりまんがな!」

 「アラ、話が違うわね」

 「角藤氏、じゃあなんでトイレにいたんだ?」

 「たまたまやないか」

 「笑也さん、部活に入ってる?」

 「入ってへんな」

 「とりあえずトイレを出よう」

 「……嫌や」


 やっぱりトイレに籠城してるじゃねーか。


 「それだけの用か?帰れや」


 角藤氏はそう言うと俺氏達に背を向ける。


 「みんながみんなワレみたいなパーフェクト超人になれる訳じゃないねんぞ?友達がおらんやつもおりまんがな」

 

 「そうだな」と素直に思ってしまう。角藤氏の言うとおりだ。しかし俺氏はパーフェクト超人ではないぞ?角藤氏よ。伝えたい、この思い。麻居氏はズイッっと前に出る。


 「私達は依頼で来たって言ったでしょ?第一、トイレで何してるの?」

 「そんなもんワレらに関係あらへん」


 角藤氏は軽く舌打ちすると頑なに否定する。だがマイマイも引かない。どっちも頑固だね。俺氏は一人思う。“クズ”ならこの場合どうするのだろうかと……。


 「俺氏が一人なら堂々としてるがな。トイレに隠れるなんてしないぞ」

 「強者の理論や」

 「えぇ〜い。むしゃくしゃするわね。トイレから出なさい。ここでは話せないわ。部室へ来なさい!カウンセリングよ」

 「い、嫌や!カウンセリング?何でやねん」


 逃げる角藤氏を追いかける麻居氏。どうなってるんだ。マイマイは角藤氏の服を引っ張ったりしている。男子トイレは阿鼻叫喚になってしまった。そんなに暴れ回るなんて麻居氏も角藤氏も体力あるなー。


 「ヒェェェ〜」


 角藤氏は悲鳴を上げる。


 「よし!捕まえたわよ。恋吉さん、このまま部室まで行くわよ!!」

 「おいおい。大丈夫か!?」

 

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