第9話 先生。
「話は聞かせてもらったぞ」
ドンっと入って来たのは……誰だ?ノックぐらいはしてくんないかな。
「咲先生!」
「青春してるな。麻居、軽本」
なぜやらこの人物。目が燃えている。野球漫画に出て来そうだ。セミロングの髪と長い足。いかにも出来る女。それが第一印象。麻居氏はこの人物を先生と呼んだ。
「恋吉さん。学校の先生よ。大野ヶ原咲(おおのがはら さき)先生ね」
「先生なの!?」
「お前らの担任だぞ。ヒーロー君。と、言っても記憶喪失なんだってな。しかし若いって素晴らしい。青春だ!こんな時季に困難に出会うなんて。軽本、お前はついてるぞ?」
熱い!暑い。青春?にしてもこの先生、テンション高くないか?しかも裏で盗み聞きしてるし。なんでこう勝手な人たちばかりなんだ?大野ヶ原先生は大きく頷いた。そして語り始める。
「“クズ”か……。世間では嫌われ者だぞ?だが一部の人間には歓迎される。どんな人間かって?同じ“クズ”だ」
何だその話?訳分かんねぇな。昔の俺氏は嫌われたかったって事か?ヒーローになって嫌われたいってアホだな。しかし同じ“クズ”か。どこにいるんだろうな。
「“クズ“が学校にいるのですか?大野ヶ原先生」
先生は少し考える仕草を見せる。それが様になっていた。格好いい先生だ。
「軽本、探してみろ」
こりゃあシンプルな返答だが丸投げだ。俺氏は不満を見せる。
「無責任なんですね」
ここで麻居氏が割って入る。
「恋吉さん。私も一緒に探してあげるわ」
それともプリンを食べたコイツが“クズ”の一人なのか?
「わ、私は史上最高のヒロインよ?“クズ”ではないわ」
と、ヒロイン様は言い訳中だ。
「探す価値ねぇよ」
俺氏は本音を言う。
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