第7話 クズノート。

 「その制服はどこの学校だ?」

 「西予高等学校よ」

 「もしかしてだが俺氏もその学校?」

 「二年生だわ」

 

 へぇ〜。と思うしかない。学校かぁ〜。忘れてしまって思い出せないな。彼女でもいたのだろうか?友達は?


 「俺氏ってどんな生徒だったの?」

 「分からないわ。私、転校して来たの」

 「宇宙からでもやって来たのか?」

 「そうそう、ワレワレは……ってオイィ!」

 

 !!最近のマイマイはノリツッコミが出来るのか。「そんな事よくて」と麻居氏は言う。


 「恋吉さん、これからどうするの?」

 「えぇ?そなもん分からん。記憶無いし。体中痛いし。そんなんでこれからって言われてもどうしようも無くないか」

 「学校へ来るの!恋吉さん、これを見なさい」


 差し出されたのは一冊のノート。そこには“クズノート”と書かれてある。“クズ”!!なんて懐かしい響きだ。しかし“クズ”ってなんだ?これこそ謎だらけだ。


 「このノート、誰が書いたんだ?」

 「恋吉さんの鞄に入っていたの」

 「勝手に探ったのか?」

 「事故のときに鞄は破れてしまったの。中身を整理してるときに見つけたのよ」


 プライベートは守られていたって事か。まぁ読んでみようか。

 “一人になる”“嫌な事は極力避ける”“常識をなくす”“嘘をつく”

 ……何なんだこれは?バカだなコイツ。中には意味の分からない事ばかり書いてある。もうちょっと読んでみよう。

 “僕だけはこのクズという乳母を大事にしたいと思っている。みな楽しそうに騒いで頭も良さそうだ。僕だけは暗くまだ笑う事も知らない赤子のよう”


 「で、これが何なんだ?」

 「ちょっと聞いて、恋吉さん」

 「何だ?麻居氏」

 

 マイマイは真剣な瞳になる。均衡の取れた顔付きが写っていた。


 「私、部を創設するの」

 「えっ!」

 

 まさかだと思うが面倒事に巻き込まれてしまうのではないだろうか?

 

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