催眠転生〜催眠術師のスキルで無双してハーレム作る〜

katura

異世界転生! 俺のスキルは催眠術だけ!?

 意識がぼやける。

 体が浮いているような感覚がする。


 ……何が起こった?


 確か、俺はいつも通り催眠術のセッションを終え、帰宅する途中だったはずだ。突然目の前に光が広がったかと思うと、次の瞬間には――


「……転生、した?」


 目を開けると、そこは見たこともない場所だった。木々が生い茂り、見渡す限りの大自然。鳥のさえずりが聞こえ、空気は異様に澄んでいる。


 まるでファンタジー世界のような景色だった。


 ――いや、待て。俺は現代日本の人間だったはずだ。なんでいきなり森のど真ん中に?


 服装を見下ろすと、見慣れたスーツはなく、代わりに粗末なチュニックのような服を身に着けていた。


「これは……ゲームの初期装備か?」


 混乱する中、突如として頭の中に情報が流れ込んできた。


『異世界転生完了――職業「催眠療法士」』


「……え?」


 職業が「催眠療法士」? 魔法使いとか戦士じゃなくて?


 なんだこれは。ゲームの職業画面でも見ているのか? だが、それと同時に、ある感覚が確かに体に残っていた。


 催眠術――そう、俺が現代で使っていた技術。それが、この異世界でも「スキル」として使えるらしい。


「……試してみるか」


 俺は手をかざし、深呼吸をした。自分の意識を集中させると、ぼんやりとした光の波が指先に集まるのを感じる。


 これは、いける。


 今のところ、攻撃魔法の類は使えそうにないが、催眠術が使えるのならば、この世界でも生き抜けるかもしれない。


「問題は、ここがどこかってことだけど……」


 俺は周囲を見渡し、とりあえず森を抜けることを決意した。その時――


「きゃあああっ!!」


 少女の悲鳴が森の奥から聞こえてきた。


 反射的に駆け出す。こういう状況、ゲームや漫画なら間違いなくチュートリアルイベントってやつだ。


 森の奥へと走ると、そこには一人の少女が倒れ込んでいた。


 彼女の金色の髪が陽光を浴びて輝く。その震える体の前には、一匹の狼のような魔獣が低く唸り声を上げていた。


「……マジかよ」


 どう考えても、普通の狼じゃない。でかいし、目つきが獰猛すぎる。


 俺に戦闘スキルはない。だが――


「催眠術がある」


 俺は即座に集中し、魔獣に向かって言葉を発した。


「眠れ」


 言葉に意識を込める。俺の声が響いた瞬間、魔獣の動きが止まった。


 そして――そのまま、地面にバタリと倒れる。


「おお……効いた」


 どうやら催眠は、この世界の魔物にも通じるらしい。


 少女は震えながらも、俺の方を見上げた。その瞳は怯えと同時に、驚きに満ちていた。


「あ、ありがとう……ございます……」


 彼女はゆっくりと立ち上がる。どうやら大きな怪我はないようだ。


「とりあえず、ここから離れよう」


 俺は彼女の手を引き、森の外へと向かった。


 こうして、俺の異世界生活は始まった――。

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