答えて白銀よ、生きることの意味さえも。

織風 羊

第1話 白銀の世界



暗いうちから外に出れば

夜来の雪で街はすっかり白になり

スノーブーツを履いて外に出る


魔白に包まれた街は静寂を取り戻し

本来の生き方を教えてくれるようで


空を見上げれば

雲の割れ目に浮かぶ太陽が

まるで鮮やかな朝焼けのように顔を出し

今日の訪れを笑顔で示す


タバコを咥え

吐息と共に吐き出す煙は

まるで本物の吐息のように

機関車の蒸気のようにと

凍えた空間へ滑り出す


家の片隅で

寒さに耐えながらのひと時

がさりと音がすれば

屋根から落ちてきた雪だまり


神経が一瞬にして研ぎ澄まされるのは

遠くから聞こえる雪解け作業の音


遠く思いを馳せれば

遊び人の父は

そこには居なく

年老いた祖父が鳴らす雪解けの音


目が合えば

あなたのせいでは無いのに

すまなさそうに両目を細める


そこに思いを出せるのは

手袋を外した時の

まるで老木のように乾涸びたあなたの手


届くこともない

あなたの手を思い出しながら

自分は生きる事に正面から向かって

正直に生きてきたのだろうかと

自問しても答えの出ない白い世界

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