第10話名もない村 6
「それじゃあ戻るかい?でないと日が暮れてしまう」
リアムの呼び掛けで二人は歩いて、村の方向に帰っていった。
◆
「それにしてもどうやって僕を探しだしたんだい?」
帰りの道中、リアムはずっと気になっていたことを聞いた。
通常、そういう探し出すスキルを持っている人間は、軍においては重宝されるだろうが、戦闘力はそのスキルには一切ない。
例えば、魔法は一応誰でも習得でき、練習すればそれなりに戦える。
ただ、それは戦えるであって強いではない。
そのためあるとすれば模擬戦で少し見た剣の技術が凄いという位だろう。
まれに二つのスキルを持ち合わせた人間がいるようだが、薄く広く顔見知りがいるリアムでも見たことがないくらいには珍しかった。
つまり、ルシルは貴重な存在なのか、はたまたスキル以外で戦闘力を補っているのかという二択になっている。
どちらにしても珍しい存在であることには変わりないだろうが、やはり、多重スキル持ちと呼ばれる二つスキルを持ち合わせた人間の方が珍しいだろう。
「さあな」
たった一言でルシルはうやむやにするとこれ以上は受け付けないとばかりに歩くスピードをあげたのだった。
◆
結局二人が家に帰ってきた時には日も完全に暮れ、黄金に思える光を放つ月が夜の空を彩っていた。
「遅すぎです!心配したんですからね!」
「すみません」
「ごめん」
リサが珍しく声を荒げていた。
特にルシルは反省しているようで、今にも頭を地面に擦り付けて土下座をしそうである。
しないのは、以前それをしてリサが困ってしまっていたからである。
「まず、リアムさん。あなたはどこに行っていたのか知りませんけど、こんな時間にならないように時間を考えて一人行動してください!」
「ごめんなさい」
名指しの指摘に先程より丁寧に謝るリアム。
「それから、ルシルさん。ルシルさんは帰ってくるのがこんな時間になるなら一度帰ってきて状況を共有してください。ルシルさんまでいなくなったらこのルシフェルはどうするんですか!」
「すみません」
今回遅くなったのはリアムが遠くに行っていたためであり、発見に時間がかかったわけではないのだが、素直に謝るルシル。
その近くではカイラとアレンがそれを見ながら戦慄していた。
「王女って怒れる人だったんだ。ギャップで怖く感じるわね」
「だな。怒らせねーようにしねーとな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます