第3話タイラル王国への道のり

「はぁ~あ、つまんねぇの」

あれから結局アレンはおとなしく馬車で移動することになり、ルシルは何事もなかったように御者台で馬を御していた。

アレンの様子を見ている一同は苦笑い。

ただ一人、リサだけはアレンに対してではなく、ルシルに対する憧れというのが顔に出ていた。


こうして馬車を走らせる一行。

そんな馬車を止めたのは丁度昼頃であった。

「ここで食材を調達、調理するぞ」

ルシルが調理が出来る人に手を挙げさせると、挙げたのはリサとカイラである。

ルシルは顔色を変えずに、

「リサ王女は馬車でお待ち頂いて構いません」

それから、有無を言わせぬままカイラの方を向く。

「少し以外だが、本当に出来るのか?」

「以外って失礼ね!出来るわよ」


それから今まで作ったことのある料理をツラツラと述べていく。

それを途中で遮るように、

「アレンとリアムは食材を調達してもらえるか?」

ルシルは2人に確認をとる。

カイラは遮られた事をきっかけにむきになっていたことに気づき、少し恥ずかしそうにしている。


「僕としては王女優先のリーダーに文句を言いたいところだけど、食材を調達することには何の問題もないよ」

「俺は基本ルシに従うつもりで来てるから文句はねえよ」

リアムは王女にただ待つように指示をしたルシルに不信感を覚えつつも、食材を調達しなければ食べられないためか一応了承したようだ。

アレンは先程の事を忘れたかのように自分は従順であると言い放つ。



結局、ルシルとカイラが調理、アレンとリアムが食料調達、リサが待機となった。

リサはルシルの目の届く位置にある馬車の中で待機している。

それに密かに不信感を覚えていたカイラが馬車にいるリサに聞こえないように言う。

「何で王女さんを待機にしたの?反感を買うのは分かってたでしょ?」

どちらかというとリーダーという立場のルシルの事を思った発言であった。

「王女に料理させるわけにはいかない」

淡々とそう答えるルシル。

「じゃあ、食料を調達してもらえば良かったじゃない?」

「今の彼女には戦闘力がないからな」


その発言はカイラにとってすごく予想外であった。

確かに初めに会ったときどう戦うのだろうと思いはしたものの私たちは実力者集団として集められたはずだ。

何か隠し持っている力があるのだろうと自分の中でそう納得していた。

「何か意外だわ。王女さんを大切にしてそうなリーダーがこんな危険な旅に王女さんを連れ出すなんて」

「時が来たら理由は話そう」

そう言いつつルシルは言いたくなさそうなのをカリアは見ていたのだった。

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