推し活投資、まさかの人生崩壊フラグ!?

キダ・マコト

1stステージ:炎上劇とライブの幕開け

 なんで、おれ、炎上してんの……?


 SNSの通知が鳴り止まない。

 リプ欄もDMも、とんでもないことになっている。


《初心者が調子乗んな》

《投資なめんなよ》

《おまえの投資法、ガチで意味不明》


 わけが分からない。

 おれはただ、好きなものを応援しようと思っただけなのに……


 スマホを握る手がじんわり汗ばむ。

 画面をスクロールするたび、次々と罵倒が飛び込んできた。


《ビギナーズラックでドヤ顔とか笑える》

《投資は遊びじゃねぇんだよ》

《真面目にやってるこっちが損して、おまえが勝つのは許せん》


 息が詰まる。

 意味が分からない。

 おれ、そんなに悪いことしたか?


「推しを応援するのが、そんなに罪なのか……?」


 スマホを伏せた。

 深呼吸しようとするけど、肺がうまく空気を取り込めない。

 頭がぐるぐるする。


 ──きっかけは何だ?

 動画のせい? いや、そもそも……


 おれはスマホをもう一度手に取り、震える指でSNSを開く。


 ──その瞬間、画面いっぱいに広がったのは、無数の怒りの声。

 炎上の炎は、もう消せそうにない。


 すべての始まりは、あのライブだった──


♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


 ──数週間前。


「みんな、いっくよ~!」


 薄暗いライブハウスのステージ中央。

 スポットライトの中に、ツーサイドアップの女子がいた。

 露出度高めのゴスロリ衣装。

 右手を銃の形にして、人差し指を突きつける。


「君のハートを狙い撃ち♪」


 歌い終わると同時に、彼女は指鉄砲を放った。

 すると──ステージ前に陣取る男たちが、次々に胸を押さえて崩れ落ちる。

 まるで本当に撃ち抜かれたかのように。


 仕上げに、彼女は客席へ向けて投げキッス。

 グロスで光る唇がなまめかしく、やけに色っぽい。


 彼女は声優アイドルユニット『Fairy†Vox(フェアリー・ヴォックス)』のセクシー担当。

 今のは定番の見せ場──ファンサービスの一環だ。


「TONO氏、いよいよでござるな!」


 おれの右隣から声が飛んだ。

『ノア命』のハチマキを巻き、ペンライトを両手に構えるオタク男子。


「ええ、隊長。腕が鳴りますね」


 おれ──遠野とおの恭也きょうやは、青のペンライトを握りしめる。

 推しのイメージカラーを掲げる準備は万端。

 ちなみに『TONO』は、おれのオタク活動時の通称。

 本名のローマ字表記をもじっただけだが、仲間内ではこっちのほうが浸透している。


「ご両人、我らの女神が降臨なさったよ」


 左隣の青年が、低い声でつぶやいた。

 身長が高く、オタクっぽさゼロのリア充──ケンくんだ。


 ステージへ視線を移す。

 ツーサイドアップのアイドルが引っ込み──代わりに、黒髪ロングの女子が進み出た。


 ああ、尊い……


 その瞬間、視界が彼女一色に染め上げられた。

 ほかのメンバーがかすむほどの、圧倒的な存在感。

 スポットライトが強くなった……いや、彼女自身が輝きを増したんだ。

 線の細いシルエットに、キレのあるダンス。

 ユニット内ナンバーワンの歌唱力。


 見惚れた。

 一挙手一投足が、神がかっている。


 声優界の超新星──藤咲ふじさきノア。

 彼女のオーラは、もはや神域だった。


 ノアがマイクを口元へ近づける。

 ソロパートが始まる──


 おれはハッと我に返り、両隣に目配せした。

 そして、青のペンライトを振りかざす。

 腕が千切れるほど回しながら、体ごと左右に揺らした。


「うりゃおい! うりゃおい!」


 デコボコ三人組、狂喜乱舞。

 足を軽く跳ねさせ、腕の回転数をさらに加速させる。

 一般人が見たら、確実にドン引きだろう。


「L・O・V・E! ラブリーノ~ア!」


 ペンライトを振る腕が、悲鳴を上げた。

 それでも回す。振る。跳ねる。


 額を流れる汗が、視界をにじませる。

 だが構うものか。


 魂のオタ芸が、〝マイフェアリー〟に届くと信じて──


 ノアのソロが終わった。

 しかし、投げキッスなどのご褒美はない。


「はぁっ……はぁっ……」


 おれの呼吸はすこぶる荒い。

 普段運動しないのに、ちょっと張り切りすぎた。

 明日は筋肉痛かもしれない。


「えっ?」


 ポジションチェンジの途中、ノアと目が合った……ような気がした。

 いや、幻覚かも。妄想と酸欠のコンボが見せた幻と言われても、否定できない。


「みんな、ありがと~。また会おうね!」


 ステージ上では『Fairy†Vox』のリーダーが愛嬌たっぷりに手を振った。

 ライブハウスが本日最大の歓声に包まれる。

 その横で、ノアは静かに一礼しただけだった。


 彼女はユニットのクール担当。

 多くを語らない。でも、そのたたずまいこそ〝至高〟なのだ。


 ライブの余韻に浸りながら──

 おれたちはファミレスへと向かった。



🔥━━━━━━━🔥

🔗 ヒロインのイラストはこちら↓

https://kakuyomu.jp/users/kidamakoto/news/16818093094737214282

👉 彼女が物語でどんな活躍を見せるのか、お楽しみに!

🔥━━━━━━━🔥


【あとがき】

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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