異世界! 転生! ダンジョンだ! だったらめざせ成り上がり、いつかはきっとスローライフ

てくすたー

第1話 ダンジョンだ

「それじゃあ、やるか」

 ヤシロ・イスミは威勢良く声を出してダンジョンに入っていった。

 今日は記念するべきダンジョン1日目。

 気分だけでも盛り上げていかねばならなかった。



 世界中にあらわれたダンジョンと呼ばれる迷宮。

 バケモノがはびこるこの場所は、危険地帯として誰からも恐れられていた。

 しかし、今はそれ以上に稼げる場所として知られている。

 中にいるバケモノを倒して得られる魔石のおかげで。



 魔力の塊である魔石は、魔力文明を支える貴重なエネルギーである。

 これはバケモノを倒す事で得られる。

 そんな魔石を手に入れられるのはダンジョンだけ。

 そんなダンジョンは、魔石を求める者達が押しかけるようになった。

 イスミもそんな者達の1人である。



 経歴・職歴・能力一切不問。

 身分を問わず誰でも挑める唯一の仕事。

 それがダンジョンでの魔石回収業である。

 この業者になるために、人々は世界各地にあるダンジョンへと向かう。

 特に才能や能力のないイスミのような人間には、ここで稼ぐしかなかった。

 家は上の兄弟が継いでるし、就職先も他になかったのだから。



 そんなイスミは生まれ育った村から最も近いダンジョンへとやってきていた。

 魔石回収業者とそれを相手にする商売人で溢れた町は、思ったよりも賑わっていた。

 そんな町はダンジョンに挑もうという者達にも親切設計。 

 ダンジョンに挑む者達専用の案愛所もあり、最低限の知識や常識を教えてくれる。

 そこで教えてくれた宿屋に向かって一泊分の料金を支払い。

 すぐにダンジョンへと向かった。



 急がねばならない。

 餞別に幾らかの路銀や生活費は家族が与えてくれたが。

 それだけで何日も過ごす事は出来ない。

 すぐにでも稼ぐ必要があった。

 ファンタジーな世界とはいえ、世知辛いものである。



 とにもかくにも稼がねばならない。

 休む間もなくイスミはダンジョンに突入した。

 最低限の装備だけもって。

 貧乏暇無しの辛さである。



 それでもイスミは躊躇わない。

 危険な場所に1人で乗り込む事になっても。

「やってやる」

 今度こそは、この世界ではと意気込んで。

「成り上がってやる」

 前世のようにはならないぞと決意して。

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