生徒会長の俺が、クラスで孤立してる不良を溺愛してるなんて、誰も知らない。

「お前、最近冷たくね?」


昼休み、誰もいない階段の踊り場。

不良──いや、俺の恋人であるアイツが、不機嫌そうに言った。


(……え?)


俺は思わず眉をひそめる。

今までずっと、避けられてたのは俺のほうじゃなかったか?


クラスで浮いているアイツを、人目を気にせずに構おうとすれば、そっけなくあしらわれる。


生徒会室で偶然二人きりになっても、視線を合わせようとしない。


俺のこと、好きじゃなくなったのかもしれない──そう思って、最近は無理に近づかないようにしていた。


「……そっちが避けてたんじゃないのか?」


俺が問い返すと、アイツはムッとした顔をする。


「違えよ。……その、なんか……お前、カッコよすぎて……」


「……は?」


まさかの言葉に、俺は珍しく頭が真っ白になった。


「だから……近づいたら、余計に意識しちまうっていうか……」


アイツが目をそらしながら口を濁す。

耳まで赤くなっているのが見えた。


(可愛い……)


思わず手を伸ばしたくなる衝動を抑える。


「それで、わざと俺から距離を?」


「……悪いかよ」


そう言って、拗ねたように壁に背を預けるアイツ。


(可愛い……)


「……で、今日はどうして俺を呼び出した?」


俺が冷静を装いながら尋ねると、アイツは視線を彷徨わせながら、ボソッと呟いた。


「……放課後、空いてるか?」


「……え?」


心臓が跳ねる。


「久しぶりに、どっか行こうぜ」


(え、これって……デートの誘い……!?)


今まで避けられていた分、不意打ちすぎる誘いに、俺は珍しく動揺を隠せなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る