エネルギー管理研修(電気分野)体験記

七色春日

第1話 資格取得の道筋


 20代の頃、転職するときに電話面接で『資格は何かあるの?』と言われた記憶が残っている。その頃は技能講習とか特別教育系の資格しかなかった。何もない、と言ってもおかしくはない。私は「ありません」としか答えられなかった。


 自身の能力不足で転職先に行くことはできなかったが、それもまた仕方ないとしか思わなかった。


 30代前半になって、ビルメンテナンス系の職業に就いたのをきっかけに、第二種電気工事士、危険物乙四類、二級ボイラー技士を取得した。


 「求められているから、なんとなく」だった。

 いったん、これで打ち止めにした。

 歳を取っていたし、当時は社会人の身で熱心に勉強ができると思えなかった。大学生の時は法律系の資格を少し取っていたが、もう法分野に関わる気も気力もなかった。


 30代後半になって、大型免許・牽引免許と一種電気工事士を取得した。理由は潰しが利くようにと、会社で必要だったから。その後、会社で資格を取得した旨を告げると、なんの資格を持っていない上司に「大したことねえ資格だな」と馬鹿にされた。だから、職場でもっとも必要な第三種電気主任技術者試験を受けることにした。意趣返しのつもりだったが、同時にこの上司が出世するような職場に長く居たくないな、と思ったからだった。


 合格には2年近くかかったが、朝早く起きて勉強して、夜遅くまで勉強した経験は忘れがたい。仕事をしながらの勉強は苦ではなかった。盲目的に将来につながる勉強だと信じていた。学生の頃から数学が嫌いだったが、結局は慣れた。人間、なんにでも慣れるものだった。


 電気主任技術者試験は計3回受けたが、最初は難しすぎて試験中に答案用紙いっぱいに式を書いたし、『なんで、あんなに勉強したのに解けないんだ……』と計算問題の難しさに苦しんだ。合格点が調整され、ボーダーが下がって科目合格できたときは天に祈った。恐らく1000時間は余裕で超えるほど勉強した。最後の試験の日、終了後は壁によりかかり、尻もちをついて安堵した。係員のお姉さんが「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。試験は完璧に回答できた。むしろ、最後は物足りなさすら感じた。


 電気主任技術者のあと、一級電気工事施工管理技士と消防設備士7類も取った。私はすっかり資格取得にはまっていた。よくある資格コレクターになってきたのだ。


 俗に言う、ビルメンテナンス系の上位資格では


・第三種電気主任技術者

・エネルギー管理士

・建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)


 と、三つがある。

 資格取得に意欲が出てきた私は、当然三つとも欲しかったが、ビル管理士だけは受験資格がなかったので、受けることができなかった。詳しいことは省くが、私は正式にはメンテナンス職で、ビルメンではないのだ。この点は今でも残念だと思う。しかし、今後もちゃんとしたビルメンにはならないと思うので、必要ないかもしれない。


 さて、今回はエネルギー管理士について話そう。






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