第6話 暖かく甘きハウス
私の声が
とおい方角から流れてくる風のように見えるとき
私は嬉しい
リネ、散歩に行くよ
ぐるぐると曲がる川岸を歩こうよ
小春日和の春の日を通って
偶然にも素敵なところに出てこよう
私たち、姉妹みたいだね
と口走ったときに
あなたが見せた表情は不思議だ
あなたが見せた表情はすてきだ
まるですべてが必然かのように
まるですべてがそうであったかのように
まるで私たちがほんとうの姉妹で
まるで私たちがであったことが
さだめられたひとつの道であったかのような
そんな顔をするのだから
尻尾は旗のようにはためくのだから
私たちはもうすこしいっしょにいられる
私の声が
とおい方角から流れてくる
風のように思えるとき
あなたも一生懸命バウバウと言う
私たち、生きることにおいて
大した違いがないと仮定して
私はあなたの世話をしっかりとするし
散歩もあなたが望むなら毎日するし
あなたが抱きとめてくれるとき
わたしは心をあなたにあずけようとおもうんだ
あなたは 獣 うつくしい 獣
わたしは 獣 うつくしい 獣
波の打つように私たちは笑いあうし
わたしたちの行く先というものも
相ひとしいものなのかもしれない
そうだ 私たちは毎日散歩しているのだし
あなたはとても鼻が利くのだから
さびしくない さびしくない となんど唱えても
あなたの方が先に死ぬけれど それでも。
これだけ書いても 書いても 足りない
言語を絶したところに きっと私たちの永住はある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます