第22話

理々は、電話をかけ、地下鉄の駅の中を彷徨う。

地下鉄の改札口から溢れんばかりの人が。


「かよちゃん、私、行ってくるね。」


その時、誰かが、理々の小さな肩にぶつかった。


理々は倒れたが、ぶつかった人間が誰なのか、判らない。

沢山交差する人々。

皆、早歩きだ。


理々は、『2番ホーム』とかかれている階段を、上り始めた。

星と、相合傘の落書きがある。


その階段は古くて、誰も上り下りしていない。






雨が降っている。





理々は、雨の中、外へ飛び出した。


そこには、たくさんの人、人、人…。


制服を濡らしながら、理々は、兄を捜す。






そして、…数分後、理々は、あるビルにたどり着いた。


そこには、沢山の人の中、兄が立っていた。


背を向け、ビルのテナントのネームプレートを見ている。


丁度、かよが、反対方向から来たのが見えた。




「かよちゃん、お兄ちゃん!!」

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