第16話

「あー…、で、

なんの話してた?ふたり。」

「分かんない。聞こえなかった。」


ナミは、

「戸口って、もてるよな。若いし。モデルっぽいし。オマエとまるで違うなーって思った。」

「悪かったな。オレ、女みたいだから。頼りになんないよな、オレ。

…男として・・・・。」

「でも 大丈夫だ!!あいつには、奥さんがいるから!!」

「はあ!?はああ!?」


オレは、信じられなくなって、

「戸口、サイテーじゃん!!」


「え?やっぱり、徹香ちゃんと、もしかしてラブラブ?」

オレは、一旦考えてから、

「や、そうでもないか。

徹香ちゃんの片思いであって…

あの子が迫ってたっていうか…見た。」

「じゃあ、アタックする徹香ちゃんが

サイテーなんだな。」

「徹香ちゃんが、サイテー…か。

そうかも。」


そうだなあ、考えてみたら、徹香ちゃんは 随分と傲慢だった気がする。

素直でもない。

オレに冷たすぎるとも、思った。


そして、ショーウィンドゥをふと覗くと、

徹香ちゃんが、オレの後ろの方に立っているのに気付いた。


茫然としている。


「あ。」

ナミも、ぽかんとした。

「徹香ちゃん!!」

振り返ると、徹香ちゃんの目は、涙で溢れていた。

「いいの…サイテーかもしれないの。

でも、あんたたちに 何が分かるっていうの?」


オレは、去り行く徹香ちゃんに、

何度も名前を呼んだ。

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