第7話
『オレ』と、香音が高校の音楽科に入って間もない頃だ。
友人がオレの耳元で、
「彼女、誰。」と、香音を見つめてた。
「誰でもいいだろ。」ちらっと友人をみると、
「スカしてるなよ。」友人がニヤける。
「勘違いするなって。近所にいるだけだって。」
「紹介してほしいな」
「かわいくないって。上から目線で、生意気なんだよ。」
「生意気かどうかは、俺が決めるって。」
友人は、香音に声をかける。
「ねえ、俺、コイツの友達。
名前、なんていうのかな。」
オレは、正直そいつと香音が仲良くなるのが嫌だった。
香音は、オレと先に出会ってるんだ。
香音を、どうとかする権利は、オレの方にあるんだ。
「香音。」
オレは、香音の背中に手をやって
強制的にそこから遠ざけた。
「何?」
香音が怪訝そうに訊く。
「あいつとは、口きくなよ。
たらしだから。」
「またまた。」
「あいつと口きいたら絶交だから。」
「はあ!?」
「男なんて、マシな奴いないんだって。」
オレがにやりとして言ってみると、
香音はムスッとしてオレの左手を叩いて教室に戻った。
オレも本当は、不機嫌だった。
日に日に大人になってゆく香音を、他の男の目に入れさせたくない、
だから香音に嫌われても
香音を守りたかった。
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