時告蒼華の聴取録 case1.
津多 時ロウ
case1. 尾鷲朔太郎
一
「あなたは幸せになりたいの?」
目の前にいる制服の少女が、抑揚もなく僕に話しかける。
ここはどこだったろう。
意識を周囲に向ければ、洋風の温かみのある色のランプに、暖炉を模した壁の装飾。
少しのざわめき。コトンと何かが置かれる音。
そして目の前には、刺繍があしらわれた清潔な白いテーブルクロス。
制服の少女はナイフとフォークを静かに動かして、何かを口に運び入れる。ここ数日、まともに食事をとっていなかったせいだろうか。その何であるのかも分からないものが、とてもおいしそうに見えた。
ああ。
ここはフランス料理かイタリア料理か、或いはどこか知れないヨーロッパの国の料理を提供するレストランなのだろう。
思案している内に、
「あなたは幸せになりたいの?」
幸せ。
幸せとは具体的にはなんであろうか。僕にはよく分からない。
そもそもなぜ僕は今、ここでこうしているのだろう。
けれど「はい」と、見知らぬ少女に返事をした。
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