八色運動会⑼
木天蓼愛希
第1話A組の分裂⁈ 生徒会長の行方⁇!
ーA組三年生教室ー
純蓮ちゃんが教室に戻ると、純蓮ちゃんが中へ入ると同時に予想以上に純蓮ちゃんは仲間から冷ややかな目で見られていた。純蓮ちゃんは孤独感に打ちのめされていた。それでも純蓮ちゃんは仲間に声を掛けて見た。
「あの、ごめんね。私が余計な事して騒ぎになる様な事しちゃって、本当にごめんなさい。でもね。皆んな信じてお兄様は本当に用紙を盗む様な事はして無いのよ! 本当よ!」
純蓮ちゃんは言った。
「本当に図々しいですわ。夜に学校に忍び込んでいて、何も取って無いから信じろって言ったってねー。お話になりませんわ?」
鯨井英怜奈ちゃんが言った。
「可哀想ですわ! そんな事言ったら、慈様は生徒会長になれないばかりかどんな処分をされるか分からないんですもの。しかもご自分のせいで、一番苦しんでるのも純蓮様です物、お察して差し上げて欲しいですわ!」
文奈ちゃんが間に入って言った。
「ふざけないで、お兄様は絶対にやって無いんだから、証人だって、いるんだから。証言してくれるわ」
純蓮ちゃんが言い返した。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハッ」
これは失礼。夜、仲良く学校に忍び込むお仲間がいたって事?⁇」
英怜奈ちゃんは薄笑いしながら言った。
「それは…………………⁈」
言って、純蓮ちゃんは言い返す事が出来なかった。
「ここまで来ると惨めな物ね。それに比べて文奈様は素晴らしいわ! こんな人を庇うなんて出来ない事ですわ。純蓮様がここの紅音様のグループにいるなんて可笑しいわ。グループを出て行くべきよ!」
英怜奈ちゃんは言った。
「あんまりですわ。何もそこまで言わなくても良いんじゃ有りません事?」
藤塚絢萌ちゃんが言った。
「絢萌様はこの人を庇うんですの? 紅音様のグループにいるのは純蓮様は相応しく無いと言って、いるだけですわ!文奈様が入ってくれた方が良いと思わ無いんですの?」
鯨井英怜奈ちゃんは言った。
「まだ、はっきりして無いのにそんな事言うべきでは無いですわ!」
絢萌ちゃんが言った。
「絢萌様。何ですの? 私が悪いって言ってらっしゃるの?」
英怜奈ちゃん。紅音ちゃんの不在中に起きた喧嘩だった。その時だった。
「ガラガラガラガラッ」
ドアの開く音がした。紅音ちゃんが教室の中へと入って来た。
「皆さん、端ない事ですわよ! 廊下の外まで大きな声が聞こえて来ましたよ。A組として有るまじき行為です事よ?」
紅音ちゃんは言った。皆んなは態度を引き締めて、
「申し訳ございません。紅音様」
言って、クラスメートは謝罪した。A組の男子達は息を潜めて俯いた。
「何を揉めていらしたの?」
紅音ちゃんは言った。
「紅音様。皆んなに何を言われても良いですわ。紅音様にさえ信じて頂けるなら、私はそれで満足ですわ。私のお兄様を信じて下さい。慈兄様が生徒会長になれる様に口添えして下さい。紅音様が味方になって下されば慈兄様は生徒会長になれるんです。どうかお願いします!」
純蓮ちゃんは言って、懇願した。
「ああ。どうした物かしら、慈様が学校に潜り込んだ事は本人が認めていらっしゃいますし、生徒の人気や信頼も必要ですわ。そう言った物を失った慈様を押す事は出来かねますわ。そうだわ。生徒会長になる事を口添えする事は出来ないけれど、処分を無くすか、軽減する様に私が口添えしてあげてよ!」
紅音ちゃんが言って、提案した。
「まあ、何てお優しいの? 紅音様わ! 本来ならば、紅音様のグループに入っていて恥を欠かされたんです物、怒って当たり前ですわ!なのにお慈悲を掛けるなんて、なかなか出来ません事よ!」
言って、英怜奈ちゃんは絶賛する。
「待って下さい。紅音様。兄は学校に潜り込んだのでは無くて、私を止めに来ただけ何です。潜り込んだのは私です。私が兄に生徒会長になって欲しくて、勝手にした事です。私にバツを与えて下さい。兄の誤解を解いて下さい。お願いします。用紙は取ってません。兄は悪い事をして無いんです。証人もいます。H組の子が証言してくれます。ですから………………!」
純蓮ちゃんが言うと、
「何ですって、またH組と言いましたか? H組と言いましたか? H組ですって、いつもいつもH組が関わってる。もう何なのよー」
紅音ちゃんは取り乱して叫んだ。取り乱す紅音ちゃんに純蓮ちゃんは困惑する。
「あの。紅音様………………!?」
純蓮ちゃんが言い掛けると、
「もう、生徒会長は決まった事よ。慈様は候補から外れたわ。諦めなさい!」
紅音ちゃんは言った。純蓮ちゃんは肩を落とし、がっかりした。
「決まったんですの。嬉しい。こんな形で決まるのは少し、複雑な気もしますけど、兄が喜ぶのが嬉しいですわ!」
文奈ちゃんが言って、喜ぶ。
「あら、どうして文奈様が喜ぶのかしら? 正徳様も外されたのに…………………!」
紅音様は言った。
「どう言う事ですの? 兄が外されたって、意味が分かりません。嘘でしょ。何かの間違いですよね?」
文奈ちゃんも取り乱した。
「この前のテストだけど、習って無い問題が一問出たのだけど、正徳様だけが解けていたのよね? それだけじゃ無いわ。間違った問題もそのまま間違ったまま書かれていたそうよ! これは解答用紙を見た人がテストを受けた解答とされたわよ。つまり、正徳様が用紙を盗んだと思われたって事よ。慈様の疑いが晴れた訳でも無いんです物。二人は候補から、外されたの! もう、決まった事ですの⁉︎」
紅音ちゃんが言った。
「でしたら、どなたですの? 紅音様はおっしゃいましたよね。生徒会長は決まった事だと、そう言いました。どなたに決まったか教えて下さい?」
純蓮ちゃんは言って、願った。
「そんなに知りたいなら、教えてあげるわ。私よ!」
紅音ちゃんが言った。
「ちょっと待って下さい。紅音様は確かに生徒会長に相応しいお方だと思います。ですがまだ紅音様は中学年じゃございませんか? 会長は高学年がやるべきです! 紅音様は高学年になるまで待って下さい。だって、紅音様は必ず会長になるじゃ無いですか? だから、高学年になるまで待って下さい。慈兄様は今度慣れなければ卒業してしまうんですのよ?」
純蓮ちゃんは言って、抗議した。
「それじゃあ遅いの。待てないのよ!」
紅音ちゃんは怒鳴った。
「これは決まった事だと言ったでしょ。学校側でも、私を認めてる事なの。文句があるなら、勝手にしなさい。貴女は明日からB組に行きなさい! 慈様を処分されたく無かったらね!貴女の顔なんてもう見たくも無いわ?」
紅音ちゃんは言った。純蓮ちゃんは愕然とした。
「分かりました。紅音様。私は明日からB組に参ります。その代わり、お兄様の処分だけはしない様に口添えして下さい! お願いします」
純蓮ちゃんは諦めて言った。
「良く言って、差し上げましたわ! 私は紅音様が生徒会長になるのは相応しいと思いますわ! 二名の抜けた今、それらしい人はいませんわ。私は全力で紅音様の応援しますわ!」
英怜奈ちゃんは言って、応援する。
「ちょっと、待ちなさい。紅音様。貴女はそれで良いの?純蓮様をB組に追い遣ってそれで満足。紅音様が凄い人でも純蓮様をB組に行かせる気なら、もう、紅音様には着いて行けませんわ!」
藤塚絢萌ちゃんが言った。
「そう。良いわ。文句がお有りなら、純蓮様と一緒に出て行って、貰っても構わなくてよ!」
紅音ちゃんは冷ややかに言った。絢萌ちゃんは唇を噛み、悔しさと絶望に震えた。
「そう言う事なら、私が手を挙げて立候補したら、まだ間に合うかしら?」
言ったのは藤野志織ちゃんが言った。志織ちゃんと言えば、紅音ちゃんのたった一人のライバルで有り、お互いを認めざるを得ない強敵主でもあった。
「えっ? 志織様。生徒会長になるお積りだったんですか?」
引き攣った顔で紅音ちゃんが聞いた。
「あら? ダメだったかしら? 紅音様がなるのならば私だって、慣れるんじゃございません事?」
志織様が言った。
「ああっ、ごめんなさい。志織様が生徒会長に興味があるなんて思いもしませんでした。ごめんなさい!」
紅音ちゃんは言った。
「興味があるって訳では無いけど、こうでもしないと収拾がつかないでしょう?」
志織ちゃんは言った。
「何よーそれ? 本気にしちゃったじゃ無い。酷いわー志織様。私を揶揄ったのですね」
と、カンカンに紅音ちゃんは怒って言った。
「どんな手回しして、貴女が三年生だって、言うのに生徒会長になったのかは知らないけど、やはり、来年最高学年になる五年生こそが相応しいんじゃ無いかしら? やはり、貴女は辞退するべきよ!」
志織ちゃんが言った。
「でも、もう決まった事よ! 生徒会長に興味が無いんだったら、貴女が拘る事じゃ無いでしょ?⁉︎」
紅音ちゃんは言い返した。
H組で新葉達が慈君の無実を晴らそうと議論している中、A組ではこんな事になっているとは思う由も無かった。
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