第3話 な、なんでこんなところにSクラスのモンスターがー
冷たい視線が俺を射抜く。氷点下。でも負けない。ここが勝負しどころだ、俺は両陣営に言ってのけた。
「帰りたかったら俺を楽しませてください」
「彼らを帰らせずに魔王と戦わせたいのなら、俺をチヤホヤしてください」
~~▶▶| 早送り ▶▶|~~
コンチャッス平原。食用になる弱い魔物や走り鳥などが生息するだけの安全な平原。ただし、近くにあるダホート山脈に強力な魔物やオークなどが住んでおり、時折はぐれ魔物が下りてくる事がある。
「準備OKでーす」
「猪人魔獣のボス、包囲しました。取り巻きは駆除済みです」
その声を聞いて、ジャージの上に身に着けた皮鎧の紐を締めなおす。無理言って作ってもらったカタナを抜き、薬草っぽい草を引き抜きながら騎士たちの誘導でオークロードのところに向かう。
格闘家の九堂さんが殴り倒した無数のオークの横たわる中央に、馬曽利さんがひときわ大きなオークの腕をひねり上げて地面に押さえつけている。
「九堂さんのスキルは闘気の塊を腕の延長のように伸ばす事ができるようで、全部一撃で倒してましたよ。射程を伸ばすだけでなく、ゲーム的に言うと防御無視とクリティカル率大幅UPみたいな事になってるようです。防具とか腕越しに内蔵殴ってる感じですから、大抵の敵には無双できますね」
おっさんが嬉々として説明してくれる。おっさんのスキルは戦闘向けでは無いので安全が確保できる前は俺と一緒に後ろに居ようと誘ったのだが、最前列で見たいといって両手にジャマダハル持って乱戦に飛び込んでいたのだ。サラリーマン凄い。
「しかし、これ、オークロードっていうんですかねぇ」
「顔が豚の繁殖力旺盛な人型魔獣っていうなら、これが一番近いようだし、群れのボスっぽいからロードでいいでしょう」
おっさんが納得いかん、という風情で首をかしげるが、大事なのは『薬草採取の最中に超強い特異個体が出てくる』という事だ。オークもオークロードもいないっていうなら、似たもので代用するのは問題ない。
「試し切りにはちょうど良さそうだ」
一応それっぽいセリフを吐くと、押さえつけられたオークロードの傍に近寄り、首に力いっぱいカタナを叩きつける。ちょっと顔赤くなってしまう。
「な、なんでこんなところにSクラスのモンスターがあらわれるのよーッ!」
JKヒーラーの犬養さん。演技力ありそうなのになんでそんな棒読みなのか。そしてセリフ言うタイミングが遅い。
一撃で首を刎ねるというのが理想だったのだが、上手くいかない。
「危ないっ!」
ピギイィィという悲鳴のような鳴き声と共に、いきなり押し倒された。
オークロードは馬曽利さんに抑えつけられていたが、肩が折れるのを物ともせずに暴れたようで、犬養さんの胴体ぐらいありそうな脚が俺をひっかけるところだったようだ。
「あっぶなかったな、気を付けてくれよ、ほんとに……」
「あ。九堂君、そのセリフ待って。『き、気をつけなさいよね!あんた一人の身体じゃないんだからっ』」
「ほら、茜さんもセリフ。ピンチからの脱出パターンのヤヤデレで。24ページです」
「……あ、あなたにもしもの事があったら私……はぁ」
犬養さんが棒読みでやる気なさげだが、まぁ、多くは望むまい。どうせ攻略対象じゃないんだし。
そのあと、騎士達のシラケきった視線を受けながら何度もオークロードの首にカタナを振り下ろし、特異個体遭遇イベントを無事に終了させた。
イベントを回収できたのはラッキーだったけど、マジ危なかった。次から武器はハルバードとかにして近寄らないようにしよう。
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【クリア済みイベント チェックシート】
■カタナを手に入れる
□超強力な剣の封印を解く(無かったので未クリア)
■簡単なクエストで強力な特異個体に遭遇。軽々と倒す
■仲間にかばってもらう
□仲間が俺をかばって死ぬ(九堂さんが反対したため未クリア)
■危ない目にあって心配したヒロインが泣く
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睡眠時間削って台本書いてセリフ指導したのはおっさん
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