現世では友達ゼロだった俺だが、異世界で彼女を作ったら最強になった件

finalphase

第1章 これが異世界転生ってやつか

第1話 人の命は儚い

俺の名は鬼頭流星。県内でもトップレベルの学力を誇る清水高校に通う2年生だ。俺には友達がいない。彼女どころか、本当に友達すらいないのだ。なぜ友達がいないかと言えば、恐らく俺が万能すぎるためだろう。人間は自分よりも凄いものに対して時に嫉妬を覚える。俺は大のゲーム好きだから1日最低4時間はそれに費やすことを日課にしている。にも関わらず、勉強、運動、音楽に至るまですべての分野において学年トップの部類だ。もちろん本気で取り組んでいるわけではないので、1位というわけにはいかないがな。大して努力せずとも何でも器用にこなす俺を見て、クラスメイトたちは嫉妬を覚えたらしい。まあ、当然の帰結だな。客観的に見れば生意気な癖に勉強だけできる質の悪いキャラだ。そんな俺は今日も元気に学校に向かう。いつもの通学路で信号待ちをしていたところ、目の前にトラックが突っ込んできた。

「まずい。避けきれねぇ。」、冷静にそう思った瞬間、俺の身体は衝撃を受け、意識を失った。

目が覚めると、俺は身に鎧をまとっていた。いかにも戦闘用といった感じだ。年齢もいつの間にか25前後と言っても差し支えない容姿になっていた。辺りの景色を見まわす。西洋風の建物、貴族階級を象徴するような衣服を着た人々…どうやら俺は現実とは別の世界に来てしまったようだ。これがいわゆる異世界転生ってやつか、驚くほどテンプレ通りの展開だな。それと、人の命って案外儚いんだな。この天才高校生、鬼頭流星がトラックに挽かれたくらいであの世行きだなんて…まあ、とりあえずこの世界の様子を一通り把握するとするか。立ち上がって辺りを見回す。

「ルーカス!」、誰かの声が聞こえる。

「ねぇ、ルーカスってば。」

後ろを振り向く。どうやらルーカスってのは俺のことらしい。

「もう、どこ行ってたのよ。あんた、また私たちの足を引っ張る気?」

「いや、これはだな。」

俺が言葉を発する前に目の前の女は言った。

「次はないから。」

滅茶苦茶な話だ。全く、一体全体何がどうなってんだか。目の前にはさっきの女のほかにもう2人の女、そして3人の男どもがいた。

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