異世界の住人を召喚できるVRを手に入れた結果、現実がカオスになったんだが!?

katura

主人公・天野蒼真の日常

「はぁ……つまんねぇ」


大学の帰り道、天野蒼真はイヤホンを耳に突っ込みながら、ため息をついた。


空はすっかりオレンジ色に染まり、街の喧騒が薄れていく時間帯。自宅へと続く坂道を、足を引きずるように歩く。


「これといってやりたいこともないし、バイトして小遣い稼いで、適当にゲームやって、寝て、起きて……」


そんな毎日を繰り返している。


蒼真は大学生。特にこれといった夢があるわけでもなく、勉強に打ち込むわけでもなく、ただ無難に単位を取り、適当にサークルの飲み会に顔を出し、それなりに大学生活を送っていた。


ゲームが趣味とはいえ、それも「最近はもう飽きてきた」と感じることが多くなった。最新のVRMMOをプレイしても、結局は「所詮はゲーム」と思ってしまう。


「結局、どんなにリアルでも、仮想世界は仮想世界。現実を超えることはない」


そう思うと、何をしてもどこか物足りなさを感じてしまうのだった。


「おかえり、蒼真」


玄関を開けると、妹の 天野美咲(あまの みさき) がソファに寝転がってスマホをいじっていた。


「ああ、ただいま。お前、今日部活なかったのか?」


「うん。たまにはサボってもいいかなって思って」


「おいおい、部長がそんなことでいいのかよ」


「その言葉、兄貴が言うと説得力ないんだけど」


美咲は蒼真の妹で、高校二年生。弓道部の部長をやっているが、基本的にマイペースな性格で、きっちりしたリーダーというよりは、自由気ままに部をまとめているらしい。


「飯は?」


「ママが作ってる。あと30分くらいでできるって」


「了解」


リビングのソファに座り、スマホを取り出す。適当にニュースアプリを開き、最新のテクノロジー系の記事を眺める。


『次世代VR技術、脳波接続型デバイスが開発間近!』


「ふーん……脳波接続型ねぇ……」


最近のVR技術は、すでにフルダイブの域に近づいている。ヘッドセット型からコンタクトレンズ型、脳に直接信号を送る技術まで、研究は進んでいるらしい。


しかし、結局のところ「どれも現実と変わらないレベルには至っていない」と蒼真は思っていた。


「この手のニュース、もう何年も前から言われてるよな。どうせまた『あと10年後には実現する!』とか言うんだろ」


冷めたようにスマホを閉じ、ベッドに寝転がる。


「本当に、現実と見分けがつかないレベルのVRって、できるんだろうか……?」


そんなことを考えながら、天井をぼんやりと見つめる。


結局、現実は退屈で、ゲームすらも物足りない。

そんな日常を変える何かがあれば――


「……あれ?」


ふと、スマホの通知に気づいた。


『あなたに特別なVRデバイスをお届けします。最新の技術で、世界が変わる』


そこには、謎のVRデバイスの広告が表示されていた――。

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